一本化する3つのメリット

制度の一本化には、以下のようなメリットがあります。

非課税期間の無期限化・制度の恒久化により、長期的な資産形成ができる

現行制度では、一般NISAは5年・つみたてNISAは20年の非課税期間が設定されています。また、制度の期限があり、「いつか終わる可能性のある制度」でした。

新制度では、非課税期間がなくなり、制度が恒久化されます。生涯非課税限度額1,800万円の範囲内で、非課税期間や制度の期限を気にすることなく、腰を据えて長期的な資産形成に取り組めます。

ロールオーバーが不要になる

現行制度には非課税期間が設定されています。非課税期間終了後、NISA口座で保有していた商品は、新たなNISA口座に移して保有でき、そのための手続きを「ロールオーバー」とよんでいます。ロールオーバーを行うには新たなNISA口座を開設し、必要書類を提出する必要がありました。

新制度では非課税期間がなくなるため、こうした手続きが不要になります。

再投資ができる生涯非課税限度額

「生涯非課税限度額」という考え方は新制度で導入されるものです。新制度では非課税期間がない代わりに、1,800万円の生涯非課税限度額が設定されています。この限度額の枠内で商品を購入したのちに売却すると、枠も増える点がメリットです。現行制度では、投資商品を売却して換金すると枠が復活するという仕組みはありません。

たとえば、500万円分の投資商品を購入すると、生涯非課税限度額の残り枠は1,300万円ですが、500万円分の投資商品を売却すると枠は1,800万円に戻ります。

なお、生涯非課税限度額は購入した時点での額を基準に考えます。

一本化するデメリット

一本化のデメリットとしては、併用できるゆえに商品の選択や組み合わせに迷う可能性がある点です。さまざまな投資商品について、投資家自身が勉強して金融リテラシーを高める必要があります。

新制度を長期資産形成のきっかけに

2024年1月からスタートする新NISA制度は、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」の一環という側面もあります。非課税期間の無期限化、制度の恒久化により、30年、40年という長期間の資産形成に取り組みやすくなるでしょう。

対象となる金融商品の具体的な内容など、詳細が未定の部分もあります。今後発表される内容を注視しましょう。

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文・はせがわあきこ

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