3.マイクロチップを取り巻く環境、いったい何が変わった?
安全に動物の個体識別ができるマイクロチップですが、「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正により、このマイクロチップに関する環境が大きく変わりました。
飼い主さんも知識としてぜひ知っておきたい7つのポイントをご紹介します。
①販売される犬猫にはマイクロチップ装着の義務
2022年6月1日より、ペットショップやブリーダーなどが販売する犬猫にはマイクロチップの装着が必須となりました。
法改正の動きを知り、施行前より販売用の子犬子猫にマイクロチップを装着していた販売者もありましたが、今後は購入する犬猫にはすべからくマイクロチップが装着されていることになります。 したがって、購入費用にはマイクロチップ装着費用が加算されていることがあります。
②マイクロチップを装着した犬猫を迎えたら、飼い主さんの情報に変更登録する義務
販売された犬猫、またはすでにマイクロチップを装着した犬猫を譲り受けた場合、そのままでは販売者や元の飼い主さんの情報がマイクロチップに書き込まれていることになります。
その犬猫が迷子になり、マイクロチップのデータを読み取ったとしても、販売者や元の飼い主さんのことしかわからず、新しく飼い主さんとなった方の元へ戻ることは難しくなってしまいます。
マイクロチップは“現在の”飼い主さん・所有者の情報を書き込む必要があるため、マイクロチップを装着した犬猫を迎えた場合には、迎えた日から30日以内に所有者として飼い主さんご自身の情報へと変更登録しなければなりません。(ただし、生後90日以内の子犬子猫の場合は、生後90日を過ぎてから30日以内)
また、マイクロチップ装着済の犬猫を飼っており、その子を誰かに譲渡する場合も、その日までに情報の変更登録をする必要があります。
所有者 | 必要な作業 | 期日 |
---|---|---|
ペットショップ (犬猫を仕入れた場合) |
情報の変更登録 | 犬猫を取得してから30日以内、または販売までに |
ペットショップ (自家繁殖場合) |
装着、登録 | 生後120日以内、または販売までに |
ブリーダー | 装着、登録 | 生後120日以内、または販売までに |
飼い主 | 情報の変更登録 | 犬猫を迎えてから30日以内 (生後90日以内の子犬子猫は、生後90日を過ぎた30日以内) 譲渡の場合は譲渡するまでに |
③マイクロチップ未装着の犬猫には、なるべく装着することが推奨される
マイクロチップを装着していない犬猫を飼っている、または譲り受けた場合は、法的に装着が義務とはなっていませんが、なるべく装着することが推奨されています(努力義務)。
このケースでは装着するか、しないか、飼い主さんの判断に任されるわけですが、装着したい場合には動物病院でお願いすることになります。
④マイクロチップの情報登録は指定登録機関へ
マイクロチップを装着した場合は、誰が飼い主・所有者であるのか、情報を登録しなければ意味がありません。
これまでその情報を登録できる民間登録機関には以下がありました。
- 日本獣医師会(AIPO)
- ジャパン・ケネル・クラブ
- Fam
- マイクロチップ普及協会
- マイクロチップ東海
しかし、マイクロチップ環境が変更されるに伴い、公益社団法人 日本獣医師会が国の指定登録機関として情報管理を担当することになりました。(注意:これまで日本獣医師会が民間登録機関として行ってきたAIPOとは別)
これまでは迷子犬のマイクロチップの情報を読み取っても、複数の登録機関に照会せねばならないということもあったはずです。そうした手間も省き、今後は情報の一元化を目指すということでしょう。
では、愛犬愛猫にマイクロチップを入れたとして、 現状ではどこに登録したらいいのか?
すでに民間機関に登録してある場合はどうするのか?
と迷うのではないでしょうか?その答えは…
2022年6月1日以降にマイクロチップを装着した犬猫の場合
環境省が管轄し、日本獣医師会が管理する新たなマイクロチップ情報登録制度(犬と猫のマイクロチップ情報登録)に登録することになります。
◆上記データベースへの登録先はこちら⇒環境省「動物の愛護及び管理に関する法律に基づく 犬と猫のマイクロチップ情報登録/オンラインでマイクロチップ情報を登録しましょう」
2022年6月1日以前にマイクロチップを装着し、民間機関に登録していた犬猫の場合
新登録制度に改めて登録しなおさなければいけないというわけではありません。そのままでも大丈夫です。
ただし、新登録制度に移行登録したいという場合は、日本獣医師会に問い合わせをすることになります。
改正法の施行前には、新登録制度に移行登録を希望する飼い主さんのために手数料無料で手続きができるサイトが用意されていましたが、6月30日で受付終了となっています。
⑤マイクロチップの情報に変更があった場合には変更手続きが必要
飼い主さんが変わることはもちろん、住所や電話番号が変わった、改姓したというような時には、マイクロチップ情報の変更手続きが必要になります。
⑥自治体によってはマイクロチップの登録が鑑札代わりにもなる
狂犬病予防法により、狂犬病予防注射の接種と在住する市区町村への登録が義務付けられており、これを済ませると注射済票と鑑札がもらえることはご存知でしょう。
狂犬病予防法には「特例(ワンストップサービス)」というものがあり、これに参加する市区町村の場合、マイクロチップの新制度「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録すると、同時に該当する市区町村に必要な情報が通知され、これをもって狂犬病予防法による登録および鑑札発行が済んだと見なされます(生後91日以上の犬に限る)。
ただし、注意したいのは、狂犬病予防法に関連する登録手数料は別途支払う必要があるということ。詳しくは自治体にお問い合わせください。
◆お住まいの市区町村が「特例」にあたるのかはこちらのサイトの下部で確認できます。⇒
環境省「動物の愛護及び管理に関する法律に基づく 犬と猫のマイクロチップ情報登録/マイクロチップ情報登録制度」
⑦「マイクロチップ装着証明書」と「登録証明書」は大事なので保管を
マイクロチップの装着をした獣医師から発行されるのが「マイクロチップ装着証明書」、飼い主・所有者の情報を登録すると発行されるのが「登録証明書」です。
登録をする際にはマイクロチップ装着証明書が必要となりますし、登録証明書は情報の変更手続きをする際にも必要になります。また、犬猫を譲渡する時にはこれら2つの書類を一緒に付けて引き渡さなければなりませんので、無くさずに大事に保管することをおすすめします。
マイクロチップの情報を登録および変更する手続きが必要な時
- 犬猫にマイクロチップを装着した時
- 犬猫を迎えた時(購入や譲り受け)
- 住所や電話番号などの連絡先が変わった時、
改姓した時など - 犬猫が亡くなった時