猫の皮膚とその付属器(被毛、皮脂腺など)は外部環境から体の内部を保護しています。猫の皮膚の厚さは0.4~2mmあり、毛のない部分(無毛部:肉球や鼻)では被毛で覆われていない分、他より皮膚が厚い傾向にあります。
皮膚は大きく表皮・基底膜・真皮・皮下結合組織と分けることができ、意外と複雑な構造をしています。
では、「皮膚」はどのような役割を持っているのでしょうか?それぞれの機能に分けてお話してみましょう。
外界と真先に接触する皮膚は温度や圧力、痛み、痒みといった様々な感覚を感知する 機能を持っています。
被毛は季節毎に生え変わったり、被毛の間に空気を舎ませたりすることで、温度調節に一役かっています。皮膚の皮下結合組織は脂肪に富んでいるため、寒さから体を守っています。また、真皮層は血管が豊富で、これが広がったり、縮んだりしながら温度調節を行っています。
猫は人間と異なり、汗腺があまり発達していません。その代わり定期的に被毛を舐め(グルーミングによって)、体を湿らせることでも温度の調節を行っています。
被毛や皮膚は、他のものにぶつかったり、引っ張られたりすることなどの、機械的な力から体全体を保護する働きをします。
被毛は、雨などが皮膚にしみ込んでこないように守っています。特にノルウェイジャンフォレストのような猫種では非常に耐水性(水を弾きやすい性質)の被毛を持っています。
また、皮膚自身が緻密な構造を持ち、体の中に外から水分が入り込まないように、そして、逆に体の中から水分が出過ぎないような働きもしています。また、水だけでなく、被毛は紫外線などから皮膚を守る有効な防御壁にもなっています。
※被毛が少ない耳介や眼瞼、鼻端部などは紫外線にさらされやすいため、特に白色の被毛を持つ猫では、その部分に日光過敏性皮膚炎や、時に腫瘍を生じることがあります。
緻密で次々と新しくなっている表皮は、細菌や真菌などの各種病原菌や外部寄生虫に対しての物理的防御壁となっています。
もし病原菌が表皮を突破して侵入したとしても、真皮層で免疫機能が病原菌と闘って、その奥に侵入しないように防御しています。