「資産形成に興味があるけど、なかなか一歩が踏み出せていない」という人も多いのではないだろうか。資産形成方法の王道と言われているのが「積立(投資)」だ。そして、積立投資の具体的な実践方法としてよく挙げられるのが「つみたてNISA」と「iDeCo」の2つだろう。

資産形成を目指す人は、この2つの制度をどのように扱い、どのようなことに注意すれば良いのだろうか。「お金の専門家」として活動している横川楓氏に話を聞いた。(聞き手:菅野陽平)

横川楓
(画像=横川楓)
横川 楓
24歳で経営学修士(MBA)を取得。「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに、ミレニアル世代唯一の「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」として活躍。2019年2月には「ミレニアル世代のお金のリアル」(フォレスト出版)を上梓するなど、金融リテラシー向上に努めている。ブログは
HP:やさしいお金の専門家 横川 楓
Twitter:横川楓@やさしいお金の専門家・金融教育活動家
24歳で経営学修士(MBA)を取得。「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに、ミレニアル世代唯一の「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」として活躍。2019年2月には「ミレニアル世代のお金のリアル」(フォレスト出版)を上梓するなど、金融リテラシー向上に努めている。ブログは
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Twitter:横川楓@やさしいお金の専門家・金融教育活動家

つみたてNISAとiDeCoは別物で、一緒に考えないほうが良い

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(画像=Delphotostock /stock.adobe.com)

――まずは自己紹介をお願いできますでしょうか。

私は「お金の専門家」として活動しています。

なぜこの活動をしているのかというと、祖父が会計事務所を経営していたため、お金の仕組みと向き合う機会が昔から多かったことと、小学生のときに両親が離婚、家族3人暮らしから、母子家庭となったことをきっかけに、お金があるかないか、お金の知識を活用するかしないかでの暮らしの違いを目の当たりにしたことが原体験となっています。

そういった環境に置かれている中で、大学を卒業後、大学院に進学し、MBAやAFPなどを取得。周囲の同年代とのお金に対する意識と、これからの日本を担う世代に振りかかる様々なお金の問題との乖離に疑問を持ち、お金の知識の啓蒙活動を開始しました。

個人のお金の相談に乗ることもありますし、メディア出演や執筆、セミナー、官公庁のアドバイザー、企業の金融コンテンツの監修をすることもあります。

特に早いうちからの金融リテラシーの定着のための金融教育の普及に力を入れており、若い世代と話すことも多いです。

――そのような若い人の資産形成方法として頻繁に挙げられるのが「積立(投資)」です。よく「若いうちから始めたほうが良い」と言いますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

投資だけではなく貯金もそうなのですが、「40〜60歳の20年間で100万円を貯めること」と「20〜60歳の40年間で100万円を貯めること」では当然後者のほうが月々に必要な金額も少なくなり、目標に達するのも早くなるため、難易度が低くなります。

時間のコストを分散できるというイメージですね。

とにかく早く始めたほうが良いと思います。

積立を習慣化するために、少額でもまずは始めることが大事です。

投資でも貯金でもダイエットでもそうだと思いますが、続けないとあまり効果がありません。

行動が習慣化し、自分の生活にそれらが馴染むことで、将来的に成果が出るのだと思います。

――積立投資の具体的な実践方法でいうと、「つみたてNISA」と「iDeCo」の2つがよく挙げられると思います。それぞれに対して、どのように捉えていらっしゃいますか?

つみたてNISAとiDeCoは、よく同じタイミングで話題にあがりますよね。

ただし、私はこの2つは別物で、一緒に考えないほうが良いと思っています。

つみたてNISAは金融庁が作った投資の制度であり、iDeCoは厚生労働省が作った年金の制度です。

そもそも管轄が違う「異なる目的を持った制度」なのです。

この2つであれば私は、まずはつみたてNISAを始めることをおすすめします。

iDeCoは60歳まで原則として解約ができないという制限があるので、基本的には「金銭的に余裕が出たらやる」というスタンスが良いかと思います。

また、手取りが少ない若い世代にとって、iDeCoは最低拠出金額が月5,000円ということもネックかと思います。

若い人のなかには「月5,000円でもきつい」という人もいるはずですよね。

一方、つみたてNISAは基本的にいつでも現金に戻すことができ、ネット証券などであれば月100円からでも始めることができます。

資産形成においては、まずはなにか万が一のことがあったときにいつでも引き出せる、流動的なお金を作ることが大事。貯金も少ないのであれば、つみたてNISAがおすすめです。

つみたてNISAは金融庁が作った投資の制度で、定期的に投資信託を買う仕組み。

本来であれば投資をすると税金としてとられる20%分が非課税でそのまま利益として受け取ることができ、商品自体も金融庁の規定に沿った投資信託のみとなっている初心者向けの制度です。

大きな金額から始めるのが怖いという人は月100円の最低金額でもいいので、少額から始めてみましょう。とはいえ、月100円では資産に対するインパクトはそこまで大きくないかもしれません。

しかし、「毎月○日に〜〜円を投資する」という行為を自動化すること自体が重要です。

自動化することで長続きして、いつの間にか意識をしなくても習慣になっているということが大切なのです。

――iDeCoには所得税・住民税の節税メリットがありますが、そのメリットよりも、まずは流動性が重要ということでしょうか?

そう考えています。

また、iDeCoの所得税・住民税の節税メリットは、所得が高い人ほど大きくなります。

若いうちは所得が低いことが多いため、老後の年金をどうしても貯めたいのであれば別ですが、老後用の使えないお金を作っているのに、今すぐに使えるお金がないというのは大きなリスクにつながります。

それを考えると、優先順位として流動性を犠牲にしてまで得たいメリットではないと思います。

所得税・住民税に関するお得な制度には「ふるさと納税」もありますので、まずはそちらを検討しても良いでしょう。

まずは手取り月収の3ヵ月分を現金で用意しよう

資産形成の鍵は「習慣化」 まずは少額からでも積立を始めよう
(画像=Nana_studio /stock.adobe.com)

――現預金とのバランスはどのように取れば良いでしょうか?

運用を開始する前に、現金は手取り月収の3ヵ月分を用意しておきたいところです。

運用は余剰資金で行うことが鉄則ですから、まずは最低限貯金して、手取り月収の3ヵ月分が貯まったら、つみたてNISAを始めれば良いと思います。

3ヵ月分という数字には意味があります。

失業保険や高額療養費制度といった公的なセーフティーネットは、だいたい給付まで数ヵ月のタイムラグがあります。

3ヵ月分の手取り月収があれば、仕事ができず収入が全くなくなってしまったときでも、給付されるまでお金が足りなくなるリスクを大きく軽減できます。

この3ヵ月分は、いざというとき以外手をつけない防災袋だと思って頂ければと思います。

iDeCoに関しては、つみたてNISAを満額(年間40万円)積み立てても問題ないくらい収入が上がってきた段階で検討するくらいがいいのではないでしょうか。

つまり、まずは手取り月収の3ヵ月分を現金で用意する→つみたてNISAを始める→満額を積み立ても問題ないようであればiDeCoを始める、という流れをおすすめします。

「どうしても貯金ができない。3ヵ月分なんて無理」という人は、貯金用の口座を別で作って、そちらに毎月一定額を天引き(先取り貯蓄)すると良いでしょう。

ただ、「先取り貯蓄あるある」なのですが、手取りが少ないのに月3万円など高額の先取りを始めてしまって、生活が苦しくなると結局、貯金口座からお金を引き出してしまう人がいます。

手取りが少ない場合は、「まずは5,000円から」など、最初のハードルを下げて始めることがおすすめです。

月によっては結婚式が重なったり、どうしても欲しい物があったりして、例月より多くお金が使ってしまう場合があるはずです。

「先取り貯蓄」も効果的なのですが、金額はほどほどにしておいて、もう今月はこれ以上出費がないだろうというタイミングで残った金額を貯金に回す「後取り貯蓄」もミックスすると良いと思います。

つみたてNISAやiDeCoの設定金額にも同じことが言えますね。

――つみたてNISAやiDeCoを行うにあたって、おすすめの証券会社はありますか?

SBI証券や楽天証券のようなネット証券が良いと思います。

口座開設も比較的手軽ですし、ラインナップも充実しており、手数料も低い傾向にあります。

特に、楽天ポイントを貯めている人は、楽天証券との相性が良いはずです。

また、つみたてNISAとiDeCoは異なる証券会社に口座を開くこともできるのですが、管理の手間を考えると、同じ金融機関で開設すると良いでしょう。

まずは少額からでもやってみる

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(画像=Monster Ztudio /stock.adobe.com)

――お金に関して漠然とした不安を持つ若い人が、お金に関するリテラシーを身につける方法にはどのようなものがありますでしょうか?

自分で調べてみることは大事ですが、世の中のコンテンツがどれも高品質かというと、そうではないと思います。

一番は官公庁のサイトなどに載っている情報を読むのがいいですが、説明が難しくてなかなか理解がしづらい人も多いはず。

また、本を買ってまで勉強するほどでもない人もいますよね。

そこで正しい知識が比較的簡単に得やすいコンテンツとしては、証券会社が発信しているコラムもおすすめです。

まずは、口座開設している証券会社のものを読んでみてもいいかもしれません。

ただ、実際にやってみないと分からないこともたくさんあります。

繰り返しになりますが、まずは少額からでもやってみることが重要です。

投資に対して「怖い」というイメージを持っている人も多いと思います。

「怖い」という感情は、知らないから生まれているものです。

少額からでもやってみることで、まずは感覚をつかむということも大切。

それでも一歩が踏み出せないという人は、まずはポイント運用をしてみてはどうでしょうか。

クレジットカードやコード決済で買い物をしたときに貯まったポイントを運用に回すのです。

仮に運用成績がマイナスになったとしても、元々持っていたお金が減るわけではないので、心理的なストレスは小さいはずです。

PayPay内のボーナス運用をやっている若い人も多いですね。

――最後に、女性読者の方へ資産形成に関するアドバイスをお願い致します。

女性がお金と向き合う理由の定番として、結婚、子育て、老後などのライフイベントが挙げられますが、近年は、女性の人生の選び方も多様化していますよね。

どういう人生を歩むにしても、お金は絶対に必要なもの。

20代、30代のうちから老後資金を準備することももちろん大事ですが、人生は一度きりです。

先の未来のことだけではなく、少し先の好きなこと、もの、人に使うお金だったり、そして何よりも自分の人生を充実するためにお金を使えるように、つみたてNISAなどのお得な制度を活用して、能動的に資産形成をしていってほしいと思います。

文・fuelle編集部

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