イメージのよい土鍋は、長所短所あり。アナログ工程があることを認識すべし。

“自分好みのごはん”を炊くにはどれが正解?炊飯器、土鍋、電気圧力鍋を比較
(画像=『女子SPA!』より引用)

最近ではIH対応の土鍋や土鍋鍋も続々登場しているが、買う前に正しい特徴を理解しよう。フタがガラスのIH対応「ご飯釜 雪平」(HARIO株式会社)/6,469円(税込)

 次に、「土鍋」。炊飯器よりも本格的なイメージを持っている人は少なくないでしょう。しかしながら実際に炊いてみると、「意外とさっぱりしている」とか「ちょっと固い」と感じることがあります。その理由は、ズバリ吸水が不十分であることや、炊き方に問題があることが考えられます。

 ここで改めて、私たちの多くが慣れている“圧力”のかかる炊飯器の仕組みをおさらいしてみましょう。圧力をかけることで炊飯時の温度が100度以上になり、米に柔らかさや粘りを出す“糊化(アルファ化)”という現象が促進されます。ふっくらもっちりとした食感に炊きあがり、結果として消化されやすい状態になるため、口の中で噛むと甘みを感じやすくなるという原理です。

 土鍋の場合、圧力をかけずに炊くことになりますが、圧倒的なメリットが3つあります。それは、①内部の高温状態を維持しやすいこと(糊化促進)、②沸騰時の泡が細かいために米粒を傷つけない(ふっくら)、③遠赤外線効果(米の芯から温まる)というもの。

 つまり、最近よく出回っている“土鍋風の調理器具”には本家同様の効果は期待しにくいので注意が必要です。

 ただし、本格的な土鍋を使って正しく炊飯を行えば、最高のごはんを味わうことができるのも事実のようです。具体的には、吸水をしっかりさせた後(1時間程度)、適切な時間と火力で加熱する必要があります。

 説明書で使い方は明記されている場合でも、炊飯器に比べるとアナログ作業ですから、実際に使ってみて感覚的に慣れていくという工程は必要。上手に炊けるようになれば、ふっくら感に満ちたおいしいごはんを味わうことができます。

電気圧力鍋は便利。キッチンスペースを気にする人にオススメ。

“自分好みのごはん”を炊くにはどれが正解?炊飯器、土鍋、電気圧力鍋を比較
(画像=『女子SPA!』より引用)

コンパクトな電気圧力鍋は、炊飯用としても活躍する。見た目もおしゃれなものが多い。Re・De Pot(株式会社A-Stage)/14,800円(税込)。

 最後に、個人的にオススメしたいのが、コンパクトな電気圧力鍋。時短料理ブームで人気が高まっており、価格も高級炊飯器に比べると手の届きやすい価格帯(1万円以下、高くても3万円以内)のものが多いため、気になっている人は少なくないでしょう。

 煮込み料理を時短で作れる以外に、ごはんも炊くことができるので、1台でいろいろ使い分けられるという強みは、キッチンが狭い、家電を多く置きたくないという人のニーズにはピッタリでしょう。また、炊飯器のように圧力がかかるので、短時間でごはんを炊くことが可能。例えば、おしゃれ電気圧力鍋として人気のRe・De Pot(リデポット)の場合、ほったらかし25分で、お米を研ぐ時間を入れても約30分で白米を炊くことができます。

 さあ、正解は見つかりそうですか?人それぞれニーズやお財布事情、料理にかけられる時間は違いますから、ご自身に合った“理想(ゴール)”を見定めて、それに合うアイテムを選んでいくことが正解につながるはずです。

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<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ> スギアカツキ 食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

提供・女子SPA!



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