自分で犬のトリミングをするときのやり方
以上のチェックを済ませて必要なアイテムの準備が出来たら、まずはグルーミングで全身のお手入れを行います。 ここではグルーミングに含まれる「爪切り」「足裏の毛のカット」「肛門腺絞り」「シャンプー・ブロー」それぞれのやり方について説明します。
爪切り
爪を適切な長さを保つことは、スムーズな歩行に必要不可欠です。爪を切ることで、愛犬の肉球が地面にぴたっと接地して爪の役割を正常にします。 散歩などで地面と接すると自然に爪が削れるのですが、全ての爪が均等に削れるわけではありません。散歩の回数が少ない場合や散歩の時間がどうしても短くなってしまう老犬の場合はとくに爪のチェックは大切です。
また、地面に接していない親指の爪「狼爪」は普段の生活で削れることがないので、定期的に切る必要があります。 加えて、爪には神経が通っている血管があります。血管を誤って切ってしまわないよう爪を切る際には刃の方を外に向け、角を落とす程度にとどめて小さくカットしましょう。もしも切りすぎて出血した場合には、止血剤を使って圧迫止血しましょう。足先を触った時に嫌がる場合には肘(ひじ)やスネを持ち、足先に向かって手を滑らせるようにすると上手くいきます。 爪を切った後は爪やすりでキレイに仕上げて完成です。
足裏の毛のカット
足裏の毛はハサミで切るのではなく、怪我をしないようにペット用のバリカンを使用します。 肉球からはみ出ている余分な毛を、指を1本ずつ広げながら肉球を傷付けないようゆっくりと少しずつカットしましょう。 肉球が見える程度にカットできれば足裏のカットは終わりです。
肛門腺絞り
肛門腺とは、肛門の左右にある袋、肛門嚢(こうもんのう)に貯まる分泌物のことです。臭い付けに役立っているという肛門腺ですが、これが悪臭の原因となります。 生まれつきこの肛門腺が出にくいなどの個体差もありますが、月に一回程度絞るのが目安です。 肛門嚢は、時計で例えると肛門を中心として4時と8時の位置にあります。 絞り方はまずティッシュを準備し、尻尾を持ち上げて肛門を出します。 次に親指と人差し指で肛門の少し奥から絞り出すようにつまみます。
肛門腺をつまむと、分泌液が飛び出すこともあるので、ティッシュなどでカバーしながら行いましょう。シャンプーの時に絞るとお尻の汚れやにおいをそのまま洗い流せるのでおすすめです。 また、出ないからといって無理に力を入れてしまうと炎症の原因にもなってしまうため、出ない場合は一旦中止してください。 上手くいかない場合はトリミングサロンや動物病院でプロに任せましょう。
シャンプー・ブロー
プードルやパピヨンなど、毛の長い犬種の場合には先にブラッシングしておくことでシャンプーがなじみやすくなります。 シャワーを体に当てる際にはお湯の温度に気を付けつつ、驚かせないように声をかけながら、体の後ろから前に向かって濡らしていきます。肛門腺しぼりもシャンプーの時に行い、そのままキレイに洗い流してあげると良いでしょう。
シャワーが苦手な子にはシャワーヘッドを皮膚にぴったりつけることでシャワーの衝撃を減らしたり、スポンジに含んだお湯をしぼりながら顔や身体を濡らしたりと、工夫してあげると愛犬のストレスを減らすことができます。
シャンプーは充分に泡立ててから洗いましょう。声かけをするなどのスキンシップをとりながら優しく洗うことも忘れずに。 目や鼻、耳にシャンプー剤やお湯が入らないように注意し、前から後ろに向かってぬめりがなくなるまでしっかりとすすぎます。すすぎ残しがあると、皮膚のトラブルの原因になります。 被毛や身体の汚れ具合によってシャンプーは2回位繰り返し、綺麗になったらタオルドライで拭きドライヤーでしっかりと乾かします。タオルドライで出来るだけ多くの水分を拭くことによって、ドライヤーの時間を短縮できます。シャンプーもタオルドライも、ゴシゴシ行うのではなく優しく行います。 ブローの際には、目や鼻に直接風を当てないように注意しつつ、皮膚に赤みや湿疹などの異常がないかをチェックしましょう。
グルーミングを行った後、全身のカットとなるトリミングを行います。 カットに関しては犬種によって大きく異なる上に、カット方法も様々なためご自身の愛犬に合ったカットを学ぶ必要があります。自宅でする場合には、気になる部分を整える程度にとどめ、全身のカットはプロにお任せするほうが愛犬への負担も減らすことができます。
トリミングに慣れさせるコツ
全ての作業において、飼い主さんの優しい声かけはとても大切です。作業に集中してついつい無言になってしまいがちですが、声かけやアイコンタクトをして楽しい雰囲気を作ってあげてください。 毎日お風呂に入る人間と違って、お風呂場に普段あまり行かない愛犬をいきなりシャンプーしようとすると、お風呂場に緊張したり、怖がったり、怯えたりする場合があります。時々お風呂場に連れて行っておやつをあげたり、飼い主さんが優しく声をかけたりすることで場所に対する不安を減らしておくことが必要です。 日頃のスキンシップで愛犬の気持ちを尊重し、ブラッシングなどの比較的簡単に出来るお手入れから徐々に慣らしてください。
お手入れは1度に全てを終わらせようとするのではなく、「今日は前脚の爪切りだけ」「明日は後ろ」「別の日にブラッシング」「次は肛門腺絞りとシャンプー」と分けて少しずつ慣らします。お手入れ後は「よくがんばったね」と褒めてあげましょう。おやつやおもちゃで気をそらしたり褒めながら行うのもおすすめです。 また、愛犬が嫌がっている中で無理に作業を続けると、その後に逃げ回ったり、暴れるようになったりする可能性があります。無理強いをして行うのは禁物です。
グルーミングやトリミングは一生必要なお手入れになります。 愛犬がお手入れを嫌いにならないようにあせらずゆっくりと時間をかけて慣らしてあげることで、その後の健康管理にも大きく役立ちます。
まとめ
しっかりと準備をし、段階的に慣らしてあげることで、自宅で行うお手入れは愛犬と飼い主のスキンシップにもなります。優しく声かけをしてグルーミングやトリミングを行い、嫌がる様子があるなら決して無理はしないようにしましょう。
何もかも自分でやろうとは思わずに、難しい部分はトリミングサロンや動物病院に頼ってください。愛犬にとってトリミングやお手入れが気持ち良い時間になるように心がけましょう。 足裏の毛のカットやシャンプー、爪切りからでも無理のない程度に取り入れてみてくださいね。
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