いつもの食事を急に愛猫が食べなくなった…。そんな異変に気づいたら思わず心配になってしまいますよね。本記事では、猫が食欲不振になる原因や、対処法、病院受診の目安について解説します。
1.必ずしも病気が原因というわけではない
前提として、猫はもともと食欲にムラがある動物です。食べたいときに食べたい分量を食べる習性を持つので、気分によっては食べないこともあります。
ごはんを食べない=病気、健康に問題があるわけではないので安心してください。
また個体差により食欲も変わってきます。身体の大きさの違いだけでなく、運動量や飼育環境(一頭飼い、多頭飼いなど)によっても食べる量に違いが出てきます。
そのため一度に食べる量はちょっとずつでも、一日全体で見たときに、必要な量を食べているのであれば問題ない可能性が高いです。
2.猫がごはんを食べない原因
“そのときの気分で食べない”場合を除き、猫がごはんを食べない原因の一部を挙げてみましょう。
原因1 飽きた
昨日まで同じフードをモリモリ食べていたのに、急に食べなくなると思わず心配してしまいますよね。猫はずっと同じ食事を与えていると、飽きて食べなくなることがあります。これは猫が新しいものを好む習性を持つためです。
また、ずっと食べていたものでも、そのフードを食べた直後に吐いてしまったり、苦い薬が入っていたりした経験があると、それ以来フードを食べなくなることもあります。
原因2 そもそも好みじゃない
同じフードだと飽きるかなと思い、変えてみたら全然食べなくなった!なぜ?」。そんな場合には、そもそもそのフードが好みじゃない可能性もあります。
猫は食の好みが強い動物です。味わいだけでなく、食感などにも好みがあると言われており、特に香りには敏感です。香りが苦手なフードだと、見向きもしてくれない可能性があります。
また多くの猫は離乳期(生後8週間まで)に食べたものを、成長してからも好む傾向があるといわれます。その後、はじめて出会う香りや味わいのフードなどは。食べず嫌いで拒否してしまう場合があります。
原因3 ストレス
健康診断やワクチンのために病院へ行ったり、引っ越しや飼い主の旅行などでいつもと違う環境に置かれたりすると猫はストレスを感じ、一時的に食欲が低下することがあります。
家から移動すること、いつもと違う匂いや物音のすること、知らない人に触られること…、これらは猫にとってストレスになる可能性が高いです。
特にワクチンを打ったあとなどはゆっくり安静にして様子を見てあげてください。薬の副作用で体調を崩す可能性もあります。ぐったりしているなど様子がおかしい場合には、すぐに動物病院を受診し獣医師に相談しましょう。
特にいつもと変わりない生活をしているのにおかしいなぁ…という場合には、食事環境が愛猫にとって快適なものになっているかどうか、今一度見直してみましょう。
トイレと食事する場所が近い、食器が汚れている、器の底が深すぎてヒゲや首輪の飾りがいちいち器に触る、なども猫にとってのストレスとなります。
原因4 発情期
不妊手術をしていない場合、発情期に食欲が低下するケースが見られます。
猫の発情は、日照時間の長さに影響されるので日当たりの良い部屋で飼われている猫の場合、発情する頻度も多くなります。
原因5 加齢
人間も年を取ると食が細くなることがありますが猫も同じです。活動量が減り、噛む力や消化能力が衰えると同時に食欲も低下します。
嗅覚が衰えたことでフードのにおいを捉えられなくなり、ごはんがあることに気づけていない場合もあります。
ただ加齢で食が減ることがあっても、全く食べなくなるのは普通ではありません。異常のサインなので、早めにかかりつけ医を受診するようにしてください。
3.猫がごはんを食べない時の対処法
原因が分かったら適切に対応し、愛猫にしっかりごはんを食べて栄養をつけてほしいものですね。
ここからは家で試せる、猫がごはんを食べないときの対処法を5つ紹介します。
対処法1 あげ方を工夫する
不思議なことに、今まで食べなかったフードを飼い主さんの手から与えると食べるようになったということもあります。毎回手であげるクセがついてしまうとお皿から食べなくなってしまうこともあるので、やりすぎには注意ですが、食欲が落ちてきたと感じたらまず試してみるのはおすすめです。
また部屋のいろいろな場所に少しづつフードを置くのも、狩り気分が味わえて良いとされています。特に転がすとフードが出てくるおもちゃなどは狩猟本能も刺激できて良いでしょう。
対処法2 アレンジする
今まではおいしく食べていたフードに飽きてしまった場合に効果があるのが、フードを温めること。
普段の食事を少し温めるだけで食欲が増すことがあります。温めると香りが立つので、特に老猫には試してみてほしい対処法です。ドライフード、ウェットフード、共に温めてみる価値はあります。
また猫用のふりかけやトッピングを使い、少し香りや風味を変えることで食欲が戻る場合もあります。
市販の『総合栄養食』と書かれたキャットフードを与えている場合、基本的に必要な栄養素は足りていますので、トッピングによるカロリーオーバーにはくれぐれも気をつけましょう。
対処法3 ごはんを変える
そもそも好みのフードじゃなくて見向きもしない場合には、思い切って変えてみるのが良いでしょう。
例えば、鶏肉や豚肉など、お肉をメインとしたフードを食べない場合には鮭などの魚をメインにしたフードに変えてみるなど、食欲が戻る一つの対処法と言えます。
一概には言えませんが、日本の猫の場合、魚のにおいがするフードを好む傾向があるそうです。
ただフードを急に変えるとお腹を壊す可能性もあるので、今までのフードに少しずつ混ぜながら変更していくのが良いでしょう。
対処法4 運動不足を解消
運動量を増やすことで食欲が戻ることもあります。キャットタワーを置くなど、普段から運動がしやすい環境を整えてあげるとより良いでしょう。適度な運動はストレスの解消にもつながります。
また飼い主さんが家にいるときは、一緒に遊んであげるのが良いでしょう。
一般的に猫は動くものを追いかけることが大好きなので、動くおもちゃや猫じゃらしなどを使い、毎日数分でも良いので遊びましょう。コミュニケーションも取れ、一石二鳥です。
対処法5 食事環境を整える
まず食事のスペースは、猫のトイレから離れた静かな場所に用意します。テレビの傍など、大きな音がするところは避けましょう。
食器が深すぎる場合には、ヒゲや首輪の飾りが当たらないような、底が平たい形状なお皿に変えてみましょう。毎回キレイに洗うのはもちろん、プラスチックに比べてニオイや細菌がつきにくい陶器のお皿に変えてみるのも良いかもしれません。
多頭飼いの場合には、食事の場所を分けてあげると、より落ち着いて食べられるようになるでしょう。