◆お芝居には「人間性が全部出る」

橋本マナミ(以下、橋本):やっぱりお芝居が一番好きなんです。『身代わり忠臣蔵』の花魁みたいな役だけでなく、正反対の全然違うような役もいただけたりしてきたので、もっともっと人間的にいろんな経験をしたいと思っています。子どもを産んだこともわたしの中でとても世界が広がり、まだ経験したことがない感情などを感じることができたので、丁寧に毎日の生活をおくりつつ、そういうことをお芝居にも活かしていけたらなって。そういう人間性が全部(お芝居には)出ると思っているんです。
――『身代わり忠臣蔵』では遊郭の花魁役ということで、役柄についてはどう理解して演じたのですか?
橋本:高尾太夫は花魁の中でトップにいる人なのですが、その仕事を選ぶ背景にあるであろう生い立ちやつらさなどを全部自分の中で乗り越えて、あそこまでの地位を築いている人だと理解しました。つらい過去はあるけれど、自信や男性を包み込む母性を大事にして演じました。
――ムロさんのまるで子どものように自由奔放なお芝居の影響もあったと思いますが、確かに表情や佇まいに包み込むような母性のようなものを感じました。
橋本:トップに立つ存在感みたいなものも出せたらいいなと思ったのですが、なかなかそれって難しいんですよね。なので、落ち着きだったり、そういう点は意識しました。所作の先生はいらっしゃらなかったのですが、動きも指先までしっかり意識して丁寧に演じました。