給与交渉をするタイミングは?

(写真=getty images®)

あなたがお勤めの会社が、企業として制度がきちんと整っている会社である場合、期の途中で給与交渉することは、難しいと判断したほうが良いと思います。
各部門での人件費は、期毎に予算が決まっています。急な社員の退職でもない限り、人件費を大きく上下させることはないのです。

では、どんなタイミングで給与交渉準備を開始するべきなのでしょうか。
あなたが営業職や販売職なのであれば、目標数字の120%、150%等のハイ達成が続いている時に給与交渉するのがベストです。

また、事務職であれば、担当業務の効率化を図り、処理できる仕事が増えた時がベストタイミングです。つまり、両方に共通していることは「数字で上司に成果を認めて貰える成果が出た時」がベストだということです。
業績面談等が行われる会社も多いと思いますので、こういったタイミングで効果的に自分の仕事ぶりをアピールできるよう、普段から準備をしておきましょう。

給与交渉をする相手は誰?

給与交渉をする相手は、直属上司がベストですが、組織によってはその直属上司が人事権を持っていない場合もあります。何度か働きかけてみて全く動きがない場合は、人事権をもつ上司に伝えることも視野に入れてみましょう。
一足飛びに人事に交渉をする方もいるようですが、こういった行為は上司のメンツを潰す行動ですから、転職も視野に入れている段階でなければ、避けたほうが良いと思います。

本当に「現職にとどまることがベストかどうか」

さて、ここまで書いてきて、前提をひっくりかえすような提案で申し訳ありません。
もう一度、「現職にとどまることが本当にベストなのか」よく見極めてみませんか?

ある金融機関の情報システム部門が独立した開発子会社にお勤めだった20代のエンジニアのお話です。会社が金融システム系だったこともあり、一般的な20代よりもかなり多い収入を得ていた方でした。ですが、所属会社は子会社で、システム設計等の上流工程は親会社で行っているために担当する事ができません。

将来は「ITコンサルタントになりたい」と考えていた方ですが、コンサルタントに必要な上流工程を経験することは、その会社にいてはできないことでした。
さらに、上司のメンバーを見回してみると親会社からの「落下傘組」がほとんど。自分が30代、40代になった時にマネジメント経験が積める想像ができません。

転職活動してみたところ、彼女の金融システムの知識やポテンシャルが大いに評価され、上流工程が経験できる会社からオファーを得ることができたのです。しかし上流工程にチャレンジすることが初めてだということで、現職より50万円下がる年収提示でした。

結果、彼女はもう少し現在の会社へ留まる事にしました。
「自分の市場価値もわかったし、納得しました」と。この判断は正しかったのでしょうか?

50万円の年収ダウンを理由に、上流工程を経験できる会社への転職を辞退した事によって逃がしたものはとても大きい。上流工程を経験するチャンスと、即戦力でなくとも採用して貰える時期、この2つを逃がしてしまった事になります。30代になるとこういったキャリアチェンジはほぼ不可能です。ITコンサルタントへの道筋は閉ざされてしまいました。ITコンサルタントになれば、50万円の年収はあっさり回収できていたはずです。

有形商材のルート営業だった方が、無形商材の新規開拓営業にキャリアチェンジする際にも、この「一時的に年収ダウンする」ということは、しばしば発生します。未経験の領域にチャレンジする際には、すぐに現職と同じパフォーマンスを上げることは難しいため、年収ダウンの提示がされることが多いのです。

こういった(第三者的なキャリアアドバイザーの眼と、ご本人の意思決定とのギャップがある)例はしばしばあります。もしかしたら、「年収アップしたい」という気持ちや、「ITコンサルタントになりたいという希望」「新しいことにチャレンジしたい」「ワークライフバランスを整えたい」という本音が、ご本人の中でもうまく整理できていなかったのかもしれません。

点では見るのではなく、線で考えて

今回、「現職にとどまりつつ、給与交渉する方法」というテーマでしたが、リスクテイクせずに大きな何かを得ることは難しい。【働くこと】において、何を優先すべきか、20代の決断が30代や40代をむかえた時の自分にどのような影響を与えることになるか、じっくり考えてみてくださいね。

それでは、またお会いしましょう!
キャリアアドバイザーA

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