◆もしも自分の子どもが性被害にあってしまったら

――万一、子どもが性被害にあった場合、親としてどのように対応すればよいでしょうか。

鶴田「被害にあってしまったお子さんへの接し方で大事なのは『探ること』ではなく『受け止めること』です。もしも子どもが少しでも被害について口にしてくれたら、『話してくれてありがとう』と伝えてあげてください。どれほど動揺したとしても『あなたは悪くないよ、悪いのは相手だよ』ということをまずは伝えます。そのうえで子どもが安心して過ごせる環境を作ってあげてください。

性被害は、暴力です。性的な被害があったとわかった時点で園や学校の前に、まずは警察や児童相談所へ相談をしてください。このような機関には、子どもの性的被害を聴取できる専門家がいます。専門家がいつ・どこで・なにをされたのか正しく聞いてくれます。

何があったのかわかることは、その後の子どもをどうケアしていくかを考える手立てになりますし、加害者の保護者となんらかの話し合いをする時にも重要になります」

小さな子どもである被害者が声をあげにくいからこそ、見過ごされがちな子ども同士の性被害の実態。子どもを被害者にも加害者にもしないため、“今できること”を考えてみてはいかがでしょうか。

【鶴田信子】

公認心理師・臨床心理士。スクールカウンセラーやメンタルクリニック、企業、弁護士のメンタルヘルス支援など幅広く臨床に携わってきた一方、犯罪被害者を支援する民間団体で被害者支援、トラウマや死別のケア、PTSDのトラウマ焦点化認知行動療法を専門としている。

<取材・文/楠悠里、女子SPA!編集部 協力/鶴田信子>