専用の針で羊毛をつつき、繊維を絡めることで成形をする羊毛フェルト。優しい手触りと丸身を帯びた輪郭に惹かれて、制作を楽しむ人も増えているそうです。
写真はすべて「のこのこ」さんの作品
そんな人であれば「のこのこ」さんを、すでに知っているかも? デフォルメされたかわいさと、たくさんの種類の生き物を作ることで、界隈では有名な羊毛フェルト作家さんです。
作っている生き物の種類があまりにも豊富だから、すごい生き物マニアなのかも? そんな風に思って尋ねたところ、裏打ちされたセンスと興味がモチベーションになっていることがわかりました。
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羊毛らしい肌触りと“丈夫さ”が自慢です
日本のハンドメイドイベントを中心に、フランスや台湾など海外のイベントにも精力的に出展しているのこのこさん。本の出版や、学校やワークショップでの講師業も行っています。
作品の特徴は何といってもデフォルメされながらも特徴がしっかり詰まっているところ。スズメの背中も丁寧に再現しています。そのリアルさはスズメマニアからお墨付きをもらえるほどなんです!
羊毛フェルトのグッズの特徴といえば、1つに素材を生かしたふわふわ感があります。でものこのこさんの作品は、羊毛ならではの手触りはあるものの、やや硬めの印象。
「私の作り方の場合、芯をがっちり固めます。そうすると、強めに握っても崩れないくらいの硬さになります。羊毛フェルトは柔らかさが魅力ですが、バッグや携帯電話につけたり、持ち歩いたりしていると、崩れてきてしまいます。だから丈夫であることは強みかな?」
最初に作った鳥はスズメの「チュン太郎」。海外のイベントにも連れていくほどの相棒になりましたが、制作から十数年たった今も、このようにしっかりと形を保っています。
リアルなモチーフ以外に、球体でも生き物を再現
元々、グラフィックデザイナーとして働いていたのこのこさん。絵を描くことはできても、立体的なものを作ることは苦手だと思っていました。制作をするきっかけをくれたのはママ友でした。
お子さんが通っていた幼稚園のママ友の間で、ビーズアクセサリーの制作が流行。始めてみたところすっかり夢中になり、レンタルボックスで販売するまでになっていました。そのレンタルボックスでの販売を通じて知り合ったイラストレーターさんにスイーツのモチーフを得意とする羊毛フェルトの先生を紹介してもらい、羊毛フェルトの世界へ足を踏み込むことに。
リアルなモチーフ以外に、球体でも生き物を再現しています。
アイライナーのような目の周りのふち、外に向いた耳、長い尻尾など、アンデス原産のげっ歯目であるデグーの特徴がしっかり詰まっています。
「2次元が専門であるデザイナーが、いかに丸に落としこめるかというのが腕の見せ所です」
デザイナーとして培ったセンスがあるからこそ、生き物の魅力を丸1つに収められるのですね。
鳥やげっ歯目を中心に犬や猫といったメジャーな生き物から、コウモリまで作っています。しかし、昔から大の生き物好きで、囲まれて暮らしていたというわけではありません。