俳優の橋本愛さん(29歳)が、柚木麻子による小説『早稲女、女、男』を原案に映画化した『早乙女カナコの場合は』に主演しました。主人公早乙女カナコのおよそ10年にも及ぶラブストーリーを軸に、女性の生き方や女性同士の関係を丁寧に描いた群像劇となっています。

橋本愛さん
 橋本さんは、2010年の映画『告白』で注目を集め、以来15年間、映画やドラマなど幅広く活躍しています。その道のりには迷いや葛藤もあったと言いますが、「苦しいことも楽しみながら乗り越えたい」と今の想いを明かします。映画の公開を前に橋本さんのホンネに迫りました。

◆「男性恐怖症」の感覚に共感

「早乙女カナコの場合は」
© 2015 柚木麻子/祥伝社 © 2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
――矢崎仁司監督、そして柚木さんの小説のファンだったそうですが、早乙女カナコ役に決まった時はいかがでしたか?

橋本愛(以下、橋本):矢崎監督の作品に携わることができて、ファンとしてはまずうれしかったです。原作では各大学の“あるある”をあえてカテゴライズすることでリアルな女の子の姿を描いていましたが、映画では詳細な大学名は出さずに、リアルに“あるある”を描けそうだと思えたこともうれしかったです。あとは矢崎さんが原作の言葉を変えなかったので、それもうれしかったです。

――カナコはしっかりしている反面、恋には不器用なところもあったり、ご自身からみて共感するところはありましたか?

橋本:かなり共感するポイントは多くて、一番大きい点は男性恐怖症がカナコの中心にあり、この感覚はとても身に覚えがあるなと思いました。カナコは自分が性的な目線で見られることを忌避していて、いわゆる男っぽい立ち振る舞いを意識することで、そう見られないように回避しているんです。原作小説には過去のトラウマも描かれていますが、その感覚はわたしもこれまでの経験として近いものを感じましたし、そうしないと上手く生きられない感覚は自分とも上手く重なった気がしました。