また、女の子たちが対立するのではなく、カナコを中心に女性が女性に対してエンパワーメントしていく関係性がわたしはとても好きでした。だからといって「男なんて要らない」となるのではなく、恋愛も大事なものだからこそ真剣に悩んでしまうという、それぞれの葛藤が具体的に描かれているので、とても好きな物語だなと思いました。
◆フェミニズムは“男性も”生きやすい社会

橋本:わたしもそうなったらいいなと思っていました。タイトルこそ『早乙女カナコの場合は』ですが、登場人物それぞれの場合が描かれています。ちゃんと群像劇として立ち上がってきたのでよかったです。カナコが主人公として単独で成長していく物語というよりは、カナコも人に対してエンパワーメントしていく存在だったので、(わたしが演じることで)「大丈夫かな? ちゃんと魅力的な人間になっているかな?」という不安は常にありました。
――本作に関われてよかったなと思うことは何ですか?
橋本:フェミニズムの精神が核にある気がしていて、それは表立っては描いてはいないけれど、根づいているものなんですよね。そしてそれは女性だけのものと勘違いされやすいけれど、男社会で苦しむ男性の姿もこの映画ではちゃんと描かれているんです。それがわたしにはものすごくうれしくて。フェミニズムはすべてを包括するもので、女性が生きやすい社会は男性も生きやすい社会だと思うんです。そんなテーマを内に秘めて演じました。
――10年間の物語もよいですよね。幅広い層に響きそうです。
橋本:そうですね。大学生のシーンがメインではあるけれど、10代、20代、30代、それぞれの悩みの種類は変わってくる。それぞれの葛藤がちゃんと描かれているから、いろんな方が観てそれぞれの人生に刺さるような作品になっていればいいなという期待を持っています。
◆迷いがあるときは必ず自分にホンネを問いかける