カミングアウトを受けたとき、私はとても悩んだし孤独でした。そんな状況の中、多くのアライ(※)と出会ったことで、とても救われたのです。アメリカほどノンバイナリーやLGBTQ+に対する認知度が高まってはいない日本でも、私と同じようなつらい思いをしている親御さんもたくさんいるんじゃないでしょうか。そんな日本のみなさんへ向けて、この本を書くことに決めたのです。
※アライ…「味方」や「同盟」といった意味の英単語だが、この意味から転じてLGBTQ+を理解し、支援する仲間を意味する言葉でもある
――ノンバイナリーを理解するうえで、一番大変だったことは?
アミアさん:一番大変だったのは、人によって「ノンバイナリー」の定義が異なることに理解が追いつかなかったこと。ノンバイナリーとは、「2つ」という意味をもつ「バイ」を打ち消す言葉。つまり、男女のいずれかに当てはめることができないジェンダーをいいます。ノンバイナリーには「(男女)どちらでもない」という人もいれば、「両方」という人もいる。人それぞれ定義が違うため、それを理解するのに時間がかかりました。
私はノンバイナリーを理解しようと勉強することにしましたが、100%理解することは難しくて。子どもに直接、尋ねてみたこともありますが、「もうこの話はしたくない」と言われてしまい、理解したいのにできない状況にストレスがたまっていきました。
――アレックスさんは本書が出るにあたって、どのような反応を示していましたか?
アミアさん:アレックスから強く言われたのは、「当事者のカミングアウトがどれだけ大変かを伝えてほしい」ということ。
もちろん私も、そうした当事者の大変さや不安を想像することはできます。ただ、私は当事者ではないので、当事者も気持ちを完全にはわからない。カミングアウトした者同士、カミングアウトを受けた者同士は共感できるけど、立場が違えばそうはいかない。