◆心療内科で「うつ」が判明

病院
画像はイメージ(以下、同じ)
動悸(どうき)、体の震え。体の変化は、なおにゃんさんの頑張りが限界を超えた結果だったのでしょう。

心療内科の診断結果は「適応障害によるうつ」。“まさか自分が?”という抗(あらが)いたい思いが浮かび上がってきたかもしれません。でも、病名がつくことにより、救われた気がするのも事実です。

健康を損ねたのだから、もう逃げていい。こうしてなおにゃんさんの、1回目の休職生活がはじまりました。

◆休み方がわからない

休む
「休職したんだし休まなきゃ」

免罪符をいただいたのに、休もうとしても休めない。実際、「休んでいい」と言われても、すぐに眠れるわけでも、のんびりできるわけでもありません。さらに有給休暇ではなく休職なので、「やりかけの仕事を任されて、今頃上司は怒っているかもしれない」など、不安と焦りに苛まれます。

真面目で頑張り屋さんだからこそ、陥りがちなトラップです。しっかり体を休めたい、でも会社に行かないと忘れられそうで焦る、そんな思考で自分を追い込んでしまうのです。

心のどこかに、うつを認めたくない気持ちもあったといいます。うつ、という病名の響きから、頑張れなかった自分、という印象を持ってしまうのではないでしょうか。

◆「逃げる」ことは「生きる」こと

「もっとできる、もっとやれる。このくらいでへこたれるなんてありえない」

なおにゃんさんのように、自分を信じるのももちろん大切です。でも、仕事や人間関係を完璧にこなせる人はいませんし、そもそも何が完璧なのか、人によって基準も異なります。誰が悪いとか悪くないとかではなく、価値観の違いですれ違うことが、世の中にはあるのです。

「生きる」ために「逃げて」いいのです。なおにゃんさんも、一度会社に戻りますが、やはり心より先に体が会社を拒否してしまいました。

復職した当日に、社員みんなの前で「これからは頑張ります」という挨拶をするよう促されましたが、どうしても言えなかったのです。