「幼い子どもが興味を持ってくれたら、その親御さんや祖父母の方々が知るきっかけにもなると思ったんです。そこで幼児向けのおもちゃAEDの開発を始めました」
◆子ども向けおもちゃとしてのバランスに苦悩

「恐らく世界初となるAEDの知育玩具となるため、『こころ』という日本語を入れたかった」と秋山さんは言います。
「トイこころ」は、電源ボタン、「おとな・こども」を選択するボタン、電気ショックボタンだけのシンプルな作りです。
「本物に近づけすぎると“AEDのデモ機”のようなものになってしまいます。子どもたちに愛されるおもちゃにしなければ意味がないので、AEDっぽさを残しながらも、子どもたちが触ってみたくなるバランスを目指しました。

「実際のAEDはメーカーによって、オレンジ色や青色、緑、白などさまざまなカラーがあります。『トイこころ』の本体カラーは、始めはピンクや水色の配色の試作品を作ったりしましたが、最終的には現在の赤色に決定しました。僕にとってAEDはヒーローそのものなので、戦隊モノのイメージから赤にしようと思ったんです」
◆試作品では我が子に怒られてしまったことも

「ただ、本物のAEDは電気ショックをしたあとに心臓マッサージをする時間が2分間あるんです。その間ずっとピピピ……と電子音が鳴り続けるのですが、子どもにとっては2分間は長いし、飽きちゃいますよね。