◆脱力感が基本姿勢

お手本のような脱力感が基本姿勢。収録直前、カメラ袖で岩田さんとスタンバイして軽く会話を交わしたときからすでに、「あれっ、やけに脱力されているな」と感じたのは的外れではなかった。
それは今回のアルバム作りの前提になっているからだ。1stトラックとしてリード曲「Paradise」を配し、岩田さんらしい作詞の技がきらめくフレーズが見事にシームレスに曲順を流してくれる。ただし、コンセプチュアルになり過ぎない、控えめな見え方が本作のミソ。
このシームレスな感じ、どこかマーヴィン・ゲイ的でもある。各トラックは、そうだな、例えば80年代UKソウルのグランド・ビートのように洗練されたノリを感じる。完成度や出来栄え以上に自分がライブのステージで、その曲をパフォームしたときの青写真が常に描かれてもいる。柔軟さと明確なビジョンに揺るぎはない。