――その3つのジャンルが、コラボレーションすることで生まれるシナジーとは?

平岡:「クリエイティブな面」と「間口が広がる」という2つの要素があると思っています。クリエイティブな面では、これまで『まいはに』は日常をベースにした作品を作っていて、SFの要素をあまり取り入れていませんでした。

ですが、いぬじゅんさんの得意とする、「現実ではありえないけれども、もしかしたら起こるかもしれない」という絶妙なバランスで、『まいはに』のように楽しんでいただけると感じました。また、普段は挑戦しない内容に取り組めたことも、大きなポイントです。

YouTubeで配信したドラマに関しては、尺の面でも、通常の10分のYouTube動画ではなく、今回40分という長尺に挑戦しました。さらに、乃紫さんの音楽が関わることで、より没入感を高めることができました。

もう一つ大切なポイントは、多くの方に作品を楽しんでいただくために、間口を広げることです。たとえば、YouTubeのドラマを見て「これ小説が原作なんだ」と思って小説を買ったり、小説を読んでドラマを見るといったように、異なるメディアを通じて作品に触れる機会を増やしたいなと。

◆アナログとデジタルの新たな可能性を追求したい

――最後に、今後『まいはに』としての展望があれば教えてください。

平岡:今回の担当編集さんとのつながりも踏まえつつ、ショートドラマと小説の組み合わせにはまだまだ可能性があると感じています。ショートドラマのよさは圧倒的なスピード感にあって、毎週2、3本のコンテンツを上げ、その反応を見ながら制作を進める点です。

小説にも短編といったショートのようなジャンルがありますが、それこそ短編集とショートドラマを組み合わせることで、話題になったショートドラマを小説化したり、デジタル上の反応を見ながら小説に落とし込んだりすることができるのではないかと考えています。