◆三者三様の独自解釈で、より多くの人が楽しめる作品に

――小説は、2014年に第8回日本ケータイ小説大賞を受賞しデビューした人気作家・いぬじゅんさん、楽曲は新世代シンガーソングライター・乃紫さんが手がけているそうですね。今回、コラボのうえで工夫したことはありますか?

平岡:「餅は餅屋」と言いますか、コンセプトを共有し、その後の作業は各クリエイターが自分の領域で進めることを大切にしました。企画段階でアーティスト、作家、放送局、出版社が一堂に会するミーティングを行うという形式で進めました。

最初の企画打ち合わせで、小説家のいぬじゅんさんやシンガーソングライターの乃紫さん、佐藤さん、そして私のプロデュース視点をしっかり固めました。こうした最初の合意形成ができれば、後は各自が作業を進めるだけだったのでスムーズでしたね。

――そうして完成した、ショートドラマ、小説、楽曲の各作品の見どころを教えてください。

平岡:まず、小説に関してですが、いぬじゅんさんは日常に巧みにファンタジー要素を取り入れるのがお上手でして。今回の作品でも、立場が入れ替わるという非現実的な設定が現実のように感じられる点が非常に魅力的です。

楽曲については、乃紫さんの書く「ヒロインになるまで死ねない」というストレートかつ強烈フレーズがすごく印象的で、Z世代の心に強く響くと思います。この言葉には、生きることの意味や自己実現の重要性が込められていて、若者たちの背中を押すメッセージが詰まっています。これは、乃紫さんにしか表現できないのだろうなと。

最後にショートドラマは、いぬじゅんさんの小説を映像化したもので、主人公の成長が視覚的に伝わりやすいです。映像を通じて、立場が入れ替わる設定やキャラクターの内面変化がよりリアルに感じられますよ。キャラクターの表情や仕草が細かく描かれているので、より一層深い没入感を楽しめるのではないでしょうか。