離婚をするときは、基本的に夫婦で話し合って財産を分けることになります。その場合、住宅ローンが残っている自宅は、どういった手続きをする必要があるでしょうか。ここでは、預金と異なり複雑で分けにくい不動産についてどんな分け方があるのか解説します。

財産分与とは

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財産分与とは、夫婦がこれまで一緒に暮らしてきたなかで協力して築いた財産を離婚する際に夫婦それぞれに分けることが請求できる制度です。離婚後の生活保障や離婚の原因を作ったことに対する損害賠償の意味で行われる場合もあります。

財産分与の対象になる財産

財産分与の対象には、預金や株式、建物や土地などさまざまなものが含まれます。共有名義でなくどちらか一方の名義になっているものでも夫婦の協力によって形成された資産については財産分与の対象です。ただし「結婚前からそれぞれが所有している財産」「親からの相続や贈与で手に入れた財産」は、財産分与の対象にならないとされています。

家の財産分与を決めるポイント

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土地や建物は、さまざまな財産の中でも特に分けにくいものの一つです。預金のように誰が見てもはっきりとした金額が分かるわけではないため、単純に2つに分割するわけにもいきません。

さらに住宅ローンが残っていた場合、「今後の返済や所有権をどうするのか」という問題も発生します。そこで家を分けるときにポイントとなるのが以下の4つの点です。

  • 土地建物の名義人
  • 住宅ローンの契約状況
  • 住宅ローンの残高
  • 土地建物の現在の評価額

土地建物の名義人

「土地や建物がどちらの名義になっているのか」ということです。「どちらか片方の名義なのか」「共有名義なのか」については、最寄りの法務局やWeb上の登記情報提供サービス(どちらも有料)で登記事項証明書(土地や建物の登記簿謄本)を確認すれば確実に分かります。確認するだけであれば登記情報提供サービスで閲覧すると安上がりです。

取得先 1件あたりの利用料(税込)
※不動産登記情報(全部事項の場合)
登録費用(税込)
登記情報提供サービス
(pdfファイル)
334円 300円(初回)
法務局
(書面請求の場合)
600円 なし

住宅ローンの契約状況

住宅ローンの契約は、どちらの名義になっているのでしょうか。近年は、夫婦でローンを組む「ペアローン」(どちらも債務者となっている)の利用も増えています。住宅ローンの契約書を見れば状況を確認することは可能です。もし分からない場合は、金融機関へ問い合わせてみましょう。

住宅ローンの残高

住宅ローンの支払いが「どこまで終わっているのか」「いくら返す必要があるのか」についても確認しましょう。金融機関から受け取っている返済予定表などに記載してあります。金融機関で「残高証明書を発行する(有料)」「電話や窓口で聞く」といった方法も可能です。

土地建物の現在の評価額

土地や建物が現時点でどの程度の資産価値になっているのかについても把握しておきましょう。不動産会社に依頼すれば大まかな金額を査定してもらえます。売却して得られる金額が住宅ローン残高よりも高いか低いかで対処が異なってくるでしょう。相場を知るためにも3社程度の不動産会社へ査定してもらうのが賢明です。