社会人になってしばらく経って仕事に慣れてくると「今の会社より活躍できる会社があるかも」「もっとやりがいのある仕事がしたい」と考えるようになるかもしれません。では、そうした考えが芽生えたとき、転職先でさらに大きく飛躍するためには、今のうちにどんな準備をしておくことが望ましいのでしょう。そこで今回は、転職支援のプロとして、ハイスキルでグローバルに活躍できる人材の紹介、そしてエグゼクティブサーチファームを手がけているプロビティ・グローバルサーチ株式会社代表の高藤悠子さんにお話をうかがいました。
ハードスキルとソフトスキルの両方に磨きをかけることが大切
――まずは、理想的な転職を実現するために、今の会社に勤めている間にどんな経験を積むことが大切かを教えてください。
高藤悠子さん(以下、高藤) :ハードスキル、ソフトスキルの両方を高めることが望ましいです。「ハードスキル」とは、語学力やプログラミングなどの勉強によって身に付けるスキルのことで、「ソフトスキル」とは、コミュニケーション能力や創造力といった対人関係における能力を指します。
これまでは、ハードスキルの高さを採用基準として重視していた会社もありますが、最近はソフトスキルを重視する会社がぐっと増えているんです。
――どうしてそのような変化が起きたのでしょうか?
高藤 :世の中の動きとしてSDGs(=Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)への関心が高まっていることなどもあり、「自分(たち)だけがいい思いをするのではなく社会のため、地球のためにいいことをしていきたい」と考える会社が非常に多くなってきています。
「社会にとっていいこと」を実現するためには、自分のことばかりを考えていてはうまくいきません。だから企業も採用の際には協調性や誠実さなどをしっかりみているし、「人柄を最重視している」と言い切る企業もあるほどです。
面接でも人柄をチェックされている
――面接を通して、協調性や誠実さが分かるものですか?
高藤 :確実とは言い切れないのですが、面接の質問を工夫することでその人材の性格・性質をじっくり見極めようとしています。
例えばこれまでの経験を質問するにしても「何をしたのか?」だけじゃなく、「そのプロジェクトは何に重きを置いて進めたのか?」「具体的にはどういう施策を行ったのか?」などの質問も投げかけることで「自分だけでなく相手にとってもプラスになる解決策を見出せる人なのか」をチェックします。
実際、「関心の境界線」が社外にまで広がっている人はどんどん増えているので企業としてもそうした人材を求めているんです。
――そうしたソフトスキルはどうすれば身に付けることができるのでしょうか?
高藤 :例えば高い視座を持っている人の思考に触れる機会があれば、「自分だったらどうする?」などと考えることを通して自分の内面と対話しながら、感性に働きかける習慣を身に付けることが大切です。
最近では、「マインドフルネス」「禅」という言葉が独り歩きして、いきなり自分にもそれを取り入れようとする人もいます。
しかしむやみにスタイルだけ真似して、ただのファッションになっている場合も多いので、まずは「自分の内面を見つめる」「そこで出てきた感情に意識を向ける」ことを心がけるといいですね。
――ハードスキルに関しては、具体的に「今、これを身に付けておくべき」というものを挙げるとしたら何ですか?
高藤 :ベーシックな観点からいうと英語と会計です。英語は、景気が冷え込むといわれているこれからの時代、日系企業はもっと海外に出ていくことになると予想されますので英語でのコミュニケーションが不可欠になってきます。当然、英語ができないと応募できるポジションも少なくなってきますよね。
また会計の知識があれば営業のポジションでもマーケターでもエンジニアでも自分が担当しているビジネスが会社の中でどのくらい影響があるのか、経営目線を持って確認できるので仕事に対して主体的に動けるようになります。