2021年5月28日(金) 、“読者と編集者が一緒に作る”女性WEBメディアPRIMEの第二回イベント「女性と家事育児」座談会が開催されました。
テーマは、『小1の壁』って一体何ですか?~先輩ママが体験談を語ります!~
【パネラー】
- きょうこ氏(and-fam運営メンバー・次女が今年小学校に入学した小学生2人のママ)
- ミイ(PRIME編集部メンバー・小学生2人を1歳から預けてフルタイムで働くワーママ)
司会:みわ(PRIME編集部メンバー・ママ歴半年の未婚シングルマザー)
座談会では、小1の壁を乗り越え、キャリアを継続してきたママ2人が、今タイムリーに「小1の壁」に悩む親御さんたちからの質問にお答えし、コロナ禍ならではの実例など含め当時どのように過ごしていたかを語りました。
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毎朝子供の「いってらっしゃい」が聞けない
ーー「小1の壁」について何が壁なのかをテーマごとに取り上げていきたいと思います。では、一番多かった問題として、出勤時間が登校時間よりも早かったり、学童が保育園時代よりも早く終了したりといった「時間の問題」の悩みが多く寄せられていました。実際、時間の問題はやはり存在するのでしょうか?
ミイ:
小学校の開門が8時だったので、私の方が子供より早く家を出なければなりませんでした。住まいを決めるときそれを見越して管理人さんが常駐するマンションを選びましたが、そこで出てきたのが防犯の問題です。
また、毎朝「いってきます」を聞いてあげられないのは親として心苦しくだいぶ悩みました。結果、夫の方が時間の融通が利く仕事だったので夫に時間を調整してもらい、その課題はクリアしました。その時ばかりは夫がフリーランスで助かりました。
きょうこ:
私の地域には登校班がありました。1年生は登校途中まで親が付き添わなければいけない決まりで。私はギリギリ通勤は間に合っていましたね。フリーランスに近い状態だったのでそこのあたりは緩く見てもらえていました。人によって始業時間がきっちり決まってしまっていることがあるので中には登校班を煩わしく思うお母さんもいたと思います。
ミイ:
アンケートを見ていると、「小1の壁」ではこういった時間による問題のせいで、キャリアダウンせざるを得ないお母さんが多いですね。キャリアを変更したり、正社員から契約社員やパートになる方法を取るお母さんが最も多いのを感じます。
「小1の壁」はメンタル面よりも企業や政府の子育てサポートが終了してしまう社会的な問題が一番の問題を指すので、ここは大きな壁なんだと思います。
また、小学校の先生だという読者の方は、小1のお子さんを持った時、担任を外れるという選択肢をとったそうです。キャリアダウンではないけれど仕事の中身が変わったり制約がついたりというパターンもあるみたいですね。
「小1の壁」肌感覚のちがい
ーーミイさんはお子さんが小1になったときも正社員として働かれていましたが、会社と就業時間を相談するといった交渉の余地はなかったのですか?
ミイ:
もちろんありました。一応人事には交渉しましたね。私は2000人程の規模の会社でのワーママのパイオニアだったんですが、ダメ元で子供よりも30分早く出るのが心配でキツイと話したところ、人事の方に「俺も鍵っ子だったよ~大丈夫でしょ~」というトンチンカンな回答をされて終了っていう思い出です(笑)私には死活問題でしたがこれは家庭で解決するしかないんだなと(笑)
ただ特に大きい会社だと人事は規則に則って対応するしかないんだろうなと思います。ただ、一応言ってみたって感じですね。
ーーやはり大きい会社だと交渉するのはかなり難しい、となるとキャリアダウンの道を選ぶしかない状況になってしまうのが本当に小1の壁なんだってところですね。
ミイ:
そうだと思います。ちなみに、各事業部の責任者判断で「会社に内緒で遅く来てもいいよ」と言ってくださった方もいました。優しさからの配慮でとても有難かったのですが、私のほうに会社の規則を破る勇気はありませんでしたね。
ーーお話を聞いてると、制度も全然整っていないのもありますが、人事や規則と育児の現場がマッチしておらず、人事がそれをあまり問題だと思っていないところが小1の壁が皆さんに訪れてしまう原因なのかなっっていうのを感じました。
ミイ:
そうですね。社会や企業や大人たちが制度を作っていくのではなく、子供自身に対応させるしか方法がないというのが辛いところかなと思っていて、ただ、今はコロナで時差出勤や在宅勤務が浸透しつつありますよね。それを小1の壁に応用してほしいなと思います。職種や業種によっては難しいでしょうが、9時~17時で働くことを基準にしなくてもいいなと思います。あとはやはり難しいかもしれないけど声をあげることは大事ですよね。私はあまり上手くいきませんでしたが(笑)
きょうこ:
でも、本当にだんだんと変わっていくといいなという期待だけはあります。私の会社の規模は小さくて周りの理解もあり環境に恵まれていました。それを自分だけにとどめるのでなく、営業先の会社で自分の子育てと両立した働き方を広めるという形をとっています。子育てをしながら働くことが身近ではない人に実態をちょっとでも見てもらえるといいなと思いながら…なんとなく仕事をしています。
ミイ:
子育てと仕事を両立していく前例をつくるのが大変なのは大手企業でパイオニアとして働いていたからこそ分かりますが、私もそれでもやっていくべきかなと思います。
ただ!私は結果、そのあと15年勤めた会社から転職しました!今後子供に負担や心配をかけない働き方をしたくて。我が子はもう自立しつつありますが、今の会社では短時間正社員として採用してもらっています。子供の年齢に関係無く、家庭のスタイルに合わせて働ける会社を選びました。10年後を考えてもの選択肢は間違っていなかったなと思えるので、大きな決断ですが小学校前に思い切って転職してみるのもアリだと思っています。
ーー小1の壁を乗り越えた後に転職されたんですね。
ミイ:
そのあと小学3年生を迎えると時短勤務が終了したり、小4の壁問題が出てきたりします。あとは子供が大きくなると会社側は子育てへの負担が減ると捉え、通勤時間が考慮されない異動だったり、残業が必要な部署への配属も可能性として出てくるのを感じました。
異動がある限り子供の生活時間とのすり合わせが発生するくらいなら自分で時短の仕事を探して、仕事も家庭も安心して打ち込める働き方を選んでおこうと思いました。
ーー大きな決断を後押しするほどの壁だったということなんですね。
ミイ:
そうですね、かなり考えました。夫の仕事をセーブし続けてもらうわけにはいかないし、先々のことを考えて転職を決意しました。
ーーありがとうございます。ここまでは朝の時間の制約を話してもらいました。