2020年に入り、eスポーツ市場が本格的に離陸を迎えそうな状況になってきました。eスポーツの競技人口は世界に約1億人以上いるとされ、観戦人口は約4億人に上ると言われます。今後、五輪種目になるかもしれないと期待されており、普及に向けて大きく市場が伸びる可能性があります。
eスポーツ市場が世界で注目
eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)のことで、現実世界で人間が競技を行う従来のスポーツという概念にとらわれず、「コンピューターなどの電子機器を使ったゲーム」をスポーツの範疇に入れた新しい競技です。
複数人による対戦型ゲームの競技で、ゲームの種目によって対戦人数が決まってきます。世界ではeスポーツを単なる遊びや娯楽として考える時代は過去の話となりつつあり、コンピューターゲームやビデオゲーム上の競技もスポーツであるという考え方が浸透しています。
たとえば、アメリカでは全米州立高校協会がeスポーツを正式に「高校スポーツ」とすることを発表しており、中国や韓国もeスポーツの認識度合いが高い国です。eスポーツが世界規模で拡大することによって、ビジネス面においてもeスポーツ市場が拡大し、注目されています。
Google、Facebook、Amazonなどの大手企業のほか、日本でもトヨタが人気ゲームを手掛ける「Blizzard Entertainment」とパートナー契約を結び、北米プロリーグの公式スポンサーになっています。
日本でもさまざまな取り組みがスタート
日本では競技人口が390万人、観戦者数は160万人と言われ、eスポーツをスポーツとして認知する度合いは決して高いとは言えませんが、eスポーツの成長に取り組む具体的な動きが、官民の中に生まれています。その中のいくつかを見てみましょう。
知的財産推進計画2019
eスポーツは、日本政府が策定した「知的財産推進計画2019」の重点項目の1つとして取り上げられ、経済産業省が担当して「eスポーツ産業の健全な発展のため、競技大会のガバナンスのあり方について検討する」となっています。
トヨタの取り組み
日本を代表するグローバル企業であるトヨタは、eスポーツへの取り組みとして、世界的なゲーム会社であるBlizzard Entertainmentが運営するOverwatchリーグのパートナーになっています。
「Overwatch」は6対6プレイヤーのアクション・シューティングゲームで、「Overwatchリーグ」は世界の都市を拠点とするチームが参加する最初のグローバルeスポーツリーグです。今後、プロeスポーツチームとプロゲーマーが競い合う、世界最高峰のeスポーツリーグを構築する構想を掲げています。
EVO Japan 2020
2020年1月24日~26日、eスポーツのジャンルの1つである格闘ゲームの祭典「EVO」の日本大会「Evolution Championship Series in Japan 2020」(EVO Japan 2020)が開催されました。
EVO Japan 2020は幕張メッセで開催され、3日間の来場者数は3万1,000人に上りました。eスポーツ関連の多くのメーカーの参加をはじめ、協賛、協力企業には、業界を超えた企業が名を連ね、eスポーツがビジネスとして注目されていることを感じさせました。
たとえば、日清食品は企業名ではなく「カップヌードル」の商品名でメインスポンサーとなっています。ほかにも「au」「NISSAN」「Twitter」などの大企業がスポンサーになっていることからも、eスポーツへの注目度の高さがわかります。