【今週の一冊】

「口に出せない気持ちをわかってほしい 思春期の女の子が親に求めていること」(中野日出美著、大和出版、2018年)

先週に引き続き今回も中野日出美さんの一冊。前回の本は「愛着障害」がテーマだった。本日ご紹介する書籍は女の子の育て方をメインに綴られている。

私自身は「思春期」をとうに過ぎているが、自分の生き方を見つめ直すうえで本書はとても参考になった。人間の価値観や潜在意識というのは、実は幼少期の育てられ方から影響を受けている。しかし意外にもそれが人生後半になって浮上してしまい、息苦しくなることがあるのだ。その理由を知る上で、とても参考になった。

本書は「思春期の女の子が抱えがちな問題」として「心と体」「人間関係」「勉強」「親子関係」「危険行動」の5つを挙げている。この5分野をしっかりと把握し、親子の信頼や愛情を築くことがいかに大切かわかる。

中でも私にとって考えさせられたのが「親思いで反抗もせず、家の手伝いもよくしてくれる」(p134)というタイプの女の子。そうした子はいわゆる「いい子」である。たとえば、親の愚痴をひたすら聞いてあげるカウンセラーのようなことをしたり、両親の夫婦喧嘩の仲裁をしたりというもの。その結果、思春期の女の子は「親の役に立つことによって初めて、存在価値がある」「自分が親を幸せにしなければならない」(p136)との思いを強くしていくのである。これを読み、まさに私のことだと思わず膝を打った。

年齢を問わず、人はときおり人生で立ち止まったり戸惑ったり、あるいは大いに力強く歩を進めたりということを繰り返していく。ただ、その根底には自分自身が育ってきたプロセスが影響を及ぼしているのも事実。本書を読むと、たとえ難しい親子関係であっても修復に遅すぎることは無いことがわかる。と同時に、大人も自分自身の心を振り返り、自分の心を育み直すことが大切なのだと気づかされる。子どもの有無に関わらず、自らを見つめ直したい人にぜひとも読んでほしい一冊。


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