フリーランス翻訳者1年目の心境
(画像=『HiCareer』より引用)

松本:例えばどのような時でしょうか?

寺島:一番は子どもが病気の時です。普段は保育園に預けているので問題ないのですが、まだ小さいのでかなり頻繁に体調を崩してしまい、そうなると仕事の時間を確保するのがかなり難しいです。長いと1週間ぐらい続くので。

松本:その場合は、どうやって仕事をするんですか?

寺島:子供を寝かしつけてから、夜~朝にやる、って感じですね。ただ、病気だとすぐ寝つけなかったり、夜に頻繁に起きたりするので、集中して作業できない時もあります。子どもの体調も心配ですし。本当に納期が厳しいときは、実家の助けを借りるなどの工夫もしています。

工藤社長には「これからずっと翻訳をしていきたいなら、体は資本なので無理しないように」と言われました。今はまだ1年目の駆け出しなので、がむしゃらにやりたい時期、というかやらなきゃいけない時期というのもあり、睡眠時間を削ってでも仕事をしたいという思いでやっていますが、長期的に考えるとバランスを考えていかなきゃいけないなとは意識しています。

松本:1年目にしてテンナインの売れっ子翻訳者になったって言っても過言ではないですからね。その理由を分析すると、4つあると思います。ここまでの話にあった通り「才能」、チェックやポストエディット、レイアウト調整もやってくれる「柔軟性」、そして「高いモチベーション」…。

寺島:照れますね(笑)。ありがとうございます。

松本:そして最後は「アベイラビリティ(availability)」つまり「スケジュールが空いている事」。これは紛れもなく寺島さんの魅力の一つです。これまでスケジュールが理由で案件をお断りされることは、ほぼなかったですよね。もちろんテンナイン出身者であるから、うちを優先的にやってくれて、ほぼ専属に近い形でやってもらっている所があるかと思います。

これに関してはテンナインに登録している他の翻訳者さん達に、誤解して気分を害してほしくないのですが、やはりご依頼したい時にスケジュールが空いているというのはエージェントとしては本当にありがたいことです。寺島さん以外にも、翻訳に情熱を持っていて、かつお上手な方もたくさんいらっしゃいますが、頻繁に他案件で埋まっちゃっていて、お引き受けが難しいという方もいらっしゃるので。仕方がないことではあるんですがね。

フリーランス翻訳者1年目の心境
(画像=『HiCareer』より引用)

寺島:もちろん他のエージェントにも登録していますし、案件の打診も来ていますけど、基本的にはテンナインから一番お仕事を頂けているので、良い関係を築けられているといいなとは思います。

松本:こちらの都合のいい考え方になんですけど、スケジュールが空いてるというのは本当に助かります。

寺島:言葉があまり良くないが、私は可能な限り柔軟にエージェントの望みに応えられる「都合のいい翻訳者になりたい」という思いでやっています。やはりコーディネーターだった時期の経験が影響しているんでしょうね。

松本:才能があって、柔軟性があって、やる気があって、かつスケジュールが空いている人に、案件を頼まない理由はないですよ。

寺島:逆に、もうちょっとこうして欲しい、ここの分野を伸ばしてほしいという希望はありますか?

松本:今リソースが不足していて、今後需要がありそうなのは「ゲーム」や「宇宙産業」の分野ですかね。そういう風に新規分野を開拓していってもらえるといいかなって思います。

寺島:ありがとうございます。両方とも私自身が興味のある分野なので、やってみたいです。

松本:次の質問は「綺麗な日本語」についてです。これだけ機械翻訳が発達しているなかで、翻訳ビジネスの生き残る道は、AIには作ることのできない「読みやすい綺麗な日本語」にあると考えています。「綺麗な日本語」はどうすれば身につきますか?

寺島:難しい質問ですね。私も勉強中で、それを習得できているかは分からないんですけど。さきほどもお伝えした、 「綺麗な日本語」と言われる文章に出来るだけ触れて、盗むことが大切だと思います。その積み重ねで、どんどん引き出しが増えていくので。素材は映画でも、本でも、Webの記事でも、なんでもいいと思います。

でもやはり、本の完成度は高いです。色々な人の目を経て、何度も何度も校正して出来ている創作物なので、「綺麗な日本語」の塊です。なので、勉強するという風に肩に力を入れずに、楽しみながら身につけられるのは大きいですよね。

フリーランス翻訳者1年目の心境
(画像=『HiCareer』より引用)

松本:どんな本が好きなんですか?以前は時代小説が好きとおっしゃっていましたが。

寺島:そうですね。藤沢周平とかが好きです。なんでも読みますが、最近は辻村深月にハマっています。ホラーとミステリーの要素が混じっていて、読みやすくて面白いです。小説以外にも、実務書なども色々読みますよ。

松本:今後の目標は?

寺島:短期的な目標はビジネス翻訳を極めることです。長期的に言えば、もともとの自分のルーツである本が好きというところから、出版翻訳を勉強したいです。

あともう1つあって。これは短・中期的な目標なんですけど…。ドイツ語をもう一回勉強し直したいです。大学時代に留学期間も含めて5年間勉強したドイツ語を、仕事として出来るレベルまでブラッシュアップできたらと思ってます。

まずは英語のビジネス翻訳者として波に乗ることが第1目標で、24時間365日、昼夜問わずやりたい気持ちです。自分のキャリアの中で今がその時期だと思うし、年齢的にも今しかできないと思っています。

松本:本当に言葉が好きなんですね。テンナインにはたくさんの優秀な通訳者や翻訳者の方々がご登録してくださっていますが、皆さん一様に言葉に対して強い愛情とこだわりを持っていらっしゃいますね。それこそ尋常ではないくらい(笑)。本当に尊敬してます。

寺島:でも不思議なんですよね。私、話すのは苦手なんです。書くほうだと、スラスラと言葉が出てくるんですけど、話していると途中からよく分からなくなってくるんですよね(笑)。

フリーランス翻訳者1年目の心境
(画像=『HiCareer』より引用)

松本:人それぞれの素質や得意、不得意がありますね(笑)。最後に翻訳者を目指している人達に対してメッセージをお願いします。

寺島:私自身もそうだしたが、まずは飛び込んでもらいたいな、と思います。フリーランス1年目で、偉そうなことを言える立場でもないのですが…。自分がやりたいなと思うことに飛び込んでみたら、次にやるべき課題も見えてくるので。最初は本当に何でもいいと思います。まずコーディネーターになってみてもいいし、社内翻訳に応募してみてもいいし。それで落ちたら、自分のスキルをあげればいいと思うので、たとえばスクールに通うという選択肢が見えてきますよね。まずは行動を起こしてみないと自分に足りないものもわからない。何事もまずはやってみないとですね。

松本:最後にもう一度謝ります。寺島さんのことを甘く見ていて本当にすみませんでした!!

寺島:もういいですよ(笑)。

松本:さっきの「24時間365日やる」って言った時の目つきが本気でした(笑)。このインタビューが始まっても、まだ寺島さんを甘く見ていたんだと思います。これからもよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

寺島:はい、こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございました。


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