【プロフィール】
寺島綾乃 Ayano Terashima
2014年にテンナインに入社後、4年間、翻訳部コーディネーターとして勤務。その後、インハウス翻訳者として計2社への派遣を経て、2022年よりフリーランス翻訳者デビュー。以来、テンナインより途切れることなく案件をご依頼しています。周囲も驚くほど順調にフリーランス翻訳者としてのキャリアをスタートさせた寺島さんに、元同僚である松本がインタビューしました。
【インタビュー記事 Part 2】
松本:翻訳コーディネーターを経て、COWプロジェクトで社内翻訳者として派遣されましたが、当時の経験を振り返っていかがですか?
寺島:合計2社で社内翻訳者を経験しました。1社目は大手IT企業のプロジェクトでした。最初は1カ月程度の短期派遣の予定だったのですが、途中で期間が伸びて、最終的には半年間くらい勤務しました。あれもすごい良い経験でした。初めての派遣先だったので、最初は不安でしかなかったですね(笑)。ITという分野についても、コーディネーターやチェッカーを務めていた際に触れたくらいの知識で、専門的なものはありませんでした。
不安もありましたが、やってみると意外に出来ることに気付きました。もちろん日々たくさんのことを学び、調査し、試行錯誤しながらという感じではありましたが、やはり知る事が楽しかったですね。専門的な知識を吸収しながら翻訳を進める経験は自分にとってとても勉強になり、このIT企業での業務を通して、やればできるんだという自信にも繋がりました。
松本:いい派遣先に巡り合えてよかったですね。
寺島:人材サービス部(通訳・翻訳者の長期派遣案件を担当する部署)の濱道さん(人材サービス部コーディネーター)が派遣案件をまとめてくださって、本当に感謝しています。その次の派遣先の時も部署の皆さんが尽力して下さって、工藤社長や当時の上司 も背中を押してくれて。本当に有難かったですね。COWプロジェクトとして組織横断的に翻訳者としての独り立ちをサポートしていただけるので、そういう意味でもテンナインに入って本当によかったと思っています。
松本:2社目はどうでしたか?
寺島:2社目は製薬会社で、1社目のIT企業よりシビアだったかな(笑)。スピード感を求められました。広報部所属だったので、プレスリリースなどの社外向け資料も多く、もちろん質も求められました。スピードと質の両立っていうのが鍛えられました。
1社目と同様、次第に自分の知識量が増え、業界用語に慣れる事で対応出来ました。クライアントが求めていることやフィードバックを生の声で聞けたのがすごい良い経験になりましたね。これは社内翻訳者ならではのメリットです。あと、私より先にテンナインから派遣されていた武居さんからも丁寧にアドバイスを頂けて、それも大変参考になりました。
松本:いきなりフリーランスになるよりも最初は社内翻訳者として 経験を積んでフリーランスになる方が間違いないでしょうか?
寺島:その人が歩んできたキャリアにもよると思います。今までのキャリアですでに特定の業界での経験や知識があって、翻訳経験もあるなら特に社内翻訳者の経験も不要だと思います。
松本:企業に勤めて、一定のキャリアを積んだあとに翻訳者になられる方もいらっしゃいますもんね。
寺島:ただ、フリーランス翻訳者になりたいけどまだ経験が足りなかったり、そもそも入り口がわからなかったりする場合は、まずは社内翻訳を経験するるのがいいかなとは思いますね。そちらの方がクライアントの要望がわかるし、声も聞けるので。あとはやはり自分の立場を自覚しますよね。先ほど松本さんがおっしゃっていたように次のアクションがあるって事やチームメンバーの一人ということが実感できます。それがわからないでフリーランスになると、どうしても独りよがりな訳文になっちゃうこともあると思います。
松本:フリーランスになる決意をした時の経緯やきっかけを教えてください。
寺島:去年1年間は育休を頂いてて、その後の生活としては正直、翻訳者としてのキャリアが積めるのであれば、社内翻訳者でもフリーランスでもどちらでも良いと考えていました。
ですが、工藤社長とお話させて頂いた際に「やはり小さい子供がいるなら、ちょっとは融通がきくフリーランスの方がいいんじゃないか」とアドバイスを頂いて、フリーランスにしました。私はまだ経験したことがない業界もたくさんあるし、今後もし事情が許すなら社内翻訳もありだとは思っています。ただ、まだ子供が小さくてしょっちゅう体調を崩す ので、もうしばらくはフリーランスが働きやすいかとは思っていますね。
松本:フリーランス1年目ですけど、心境はいかがですか?不安やプレッシャーなどはないですか?
寺島:色々大変なことはありますが、一言で言うと「楽しい!」ですね。フリーランスだととにかく色んな案件をやらせてもらえるので、様々な業界の事を知れて勉強になっています。社内翻訳だと、専門知識はつく分、案件はどうしても似たようなものになるので。
楽しいけど大変ではありますね。今は色んな業界の色んな案件を任せていただけていて、勉強にはなりますが調べることがたくさんあります。でも、さっきも言った通り「生きてる!」って感じはします。一文一文と向き合って、知らない用語や原文の背景を調べて、日本語としてすっと頭に入ってくる文章をつくるという作業に四苦八苦しながらも楽しく取り組んでいて、メンバーの一人としてお役に立てている、貢献できているという実感がもてています。
ただやはり今は、子育てと仕事の両立という点にはちょっと苦戦していますね。