【今週の一冊】

「しない生活 煩悩を鎮める108のお稽古」小池龍之介著、幻冬舎新書、2014年

東京大学を卒業され、現在は鎌倉で住職を務める小池龍之介さん。氏が新聞に連載されたコラムをまとめたのが今回ご紹介する一冊。見開きにキーセンテンスと小池氏のコメントが綴られており、どこからでも読むことができる。タイトルにある「108」とは、仏教の108の煩悩のこと。あと数週間で年末の除夜の鐘が鳴り響くが、その数と同じである。本書には108もの人生ヒントが満載だ。

いくつか印象的だった部分を引用したい。「→」以降は私の感想。

「『あなたのため』と言うときの本心は『自分のため』」(p18) →特に親が言いがちなフレーズ。でも、それも子どものためと言うより親本人が安心したいため。

「『あなたが優しくしてくれないなら私も』の争いは不毛」(p70) →人からちょっと冷たくされると傷ついてしまう。そのココロは、「本来私はもっと丁重に扱われて良い存在なのに」という思い。でもだからと言って同じ土俵に立ってしまえば悪循環。

「ネットの情報は集めても集めても満たされることがない」(p118) →確かに仕事後の帰路の車内で私などついぼーっとネットサーフィンしてしまう。でも記憶に残る情報は少ない。むしろ情報洪水にのまれておしまい。

「人は生きている限り、『満足しない』という苦を味わう」(p184) →そうなのだ。人間の欲には終わりがない。慣れてしまうのがヒトだから。満足できないことが苦しみにつながる。

他にもたくさん示唆に富む文章があった。大事なのは、周りに振り回されず、自分のアタマで考えること。ゆるゆると生きていくので良し。楽しめた一冊だった。


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