大手コンビニのローソンが、早ければ2023年2月までに連結子会社の中で最大の利益を上げている食料品スーパーマーケットの「成城石井」を上場させる方針を固めました。スーパーマーケットの上場で期待されるのは、株主優待の実施です。
投資は「怖い」「難しい」と思う人も多いですが、実は株主優待は投資初心者でも安全なローリスク・ハイリターンな方法です。成城石井が株主優待を実施するかはまだ不明ですが、実施となればきっと魅力的。その時のために、株主優待に詳しい個人投資家の遠藤洋さんにやり方をレクチャーしてもらいました。
◆お金を預けておくだけでお得な特典=株主優待が毎年
そもそも株主優待とはどういうものなのでしょうか?
「株主優待とは、株主に対して送られる企業からのプレゼントのことです。株主優待を行っている企業は現在1,500社ほど。1年間で優待を受け取れる回数は企業によって異なりますが、毎年必ずもらえます。
プレゼントの内容は自社製品やサービスの優待券・割引券が主流ですが、お米や地域の名産品、カタログギフトのように選べる優待もあります」(遠藤洋さん 以下カギカッコ内同じ)
株主優待のメリット・デメリットは?
「株主優待には株式を購入して放置しているだけで特典がもらえ、日常的な出費が抑えられるというメリットがあります。そして投資初心者が株主優待目的で少額を投資する分には、ほとんどデメリットはないと言ってもよいでしょう。
むしろデポジットのような感覚で、『お金を預けておくだけで毎年お得な特典がもらえる』という認識で構いません。どうしても心配な人は、万一のためになくなってもいい余剰資金で投資を行いましょう。5~10万円程度から投資できる企業もあります」
◆選ぶポイントは「その企業のことをよく知っている」
では、どのようにして投資先を見つければよいでしょうか?
「各々のライフスタイルによっておすすめの株主優待は異なります。『○○スーパーの株を買え』と言っても、そのスーパーマーケットが生活圏内になければ意味がありませんからね(笑)。自分がよく使っている企業を調べてみて、株主優待があれば投資してみるというのが一番よいと思います。
その際のポイントは『その企業のことをよく知っている』ということ。例えばスーパーマーケットの場合、消費者目線で今後もお客さんが入る店なのかどうかをしっかりと見極めましょう。どれだけ有名なスーパーマーケットでも、お客さんが減れば株価は下がります。
接客がいい、値段の割にいいものを仕入れているといった、ユーザーにしかわからないところで評価することが大切です。こうした情報は企業の決算書にも表れない部分なので、ともすればモニターに張り付いているだけの投資家より正確な投資判断ができます」
◆株価は気にしてはいけない、放置がベスト?!
株を購入したあとは、どのようにすればよいでしょうか?
「投資と聞くと『モニターに張り付いて四六時中株価のチャートとにらめっこしている』というイメージを持たれている人もいますが、株主優待目的の場合はむしろ株価を気にしてはいけません。なんなら、放置がベストまであります。
なぜなら、優待を受け取るには企業ごとに定められた『権利確定日』時点で株を保有している必要がありますが、その翌日には用済みと言わんばかりに株を売却する人が多いため、株価が下がります。要は、必ず株価が下がるタイミングがあるということです。
その後はたいていまた元の株価に戻りますが、投資初心者の人はどうしても気が気でなくなってしまいます。心配から不要な売却をしてしまい、むしろ損をしてしまう可能性もあるため、そうなるくらいなら初めから株価のことは気にしないスタンスのほうがよいでしょう。株を売却するタイミングは、実際に『この店、危ないな』と肌で感じた時だけで大丈夫です」
◆イオン、すかいらーく、クックパッドがおすすめ
最後に、投資先選びの参考として具体的な企業名を尋ねてみました。
「女性向けだとドラッグストアや化粧品会社、ご家族のいらっしゃる人であればファミリーレストランなどが候補に挙がるでしょう。
例えば、すかいらーくホールディングスの株主優待を受ければ、ガストやバーミヤンなど系列店すべてで使えるクーポンがもらえるため、使い勝手がよいです。
全国展開しているスーパーマーケットならおすすめはイオン。株主になると『株主ご優待カード』がもらえ、株数に応じたキャッシュバックが受け取れます。また毎月20日、30日は『お客さま感謝デー』と称して5%割引特典があるなど、評判がいい。
実はWEBサービスでも株主優待があり、クックパッドでは株数に応じたプレミアムサービスの無料クーポンがもらえます。サブスク費は長い目で見ると意外とバカにならないので、クックパッド有料会員であれば検討の価値ありです」
株主優待で日々の生活にちょっとしたお得を。
<文/桜井カズキ>