AI翻訳(機械翻訳)のメリット・デメリット
インターネット検索やSNSで英語や中国語などを見かけた際、まずはGoogle翻訳を頼る、という方は多いのではないでしょうか。最近のAIによる機械翻訳の翻訳精度の高さは目を見張るものになっています。テンナイン・コミュニケーションでもAI翻訳(機械翻訳)を使用した案件のご依頼は年々増えてきています。
しかしながらAI翻訳は人の翻訳とは異なる部分があることも事実です。そこで今回は、AI翻訳とは何か、そしてどんな時に使えばいいのかといった点についてぜひお伝えできればと思います。
1. AI翻訳(機械翻訳)とは?
■ 機械翻訳のこれまでとニューラル機械翻訳
外国語を日本語へ、もしくは日本語を外国語へ一瞬で翻訳できるのならこれほど便利なことはありません。機械翻訳の精度を上げるべく、これまで様々な研究がおこなわれてきました。
機械翻訳は文法のルール、単語辞書や例文などに基づくルールベースの翻訳から始まりました。その後、たくさんのテキストデータとその対訳を統計的に算出して翻訳する統計翻訳へと研究が進みましたが、それほど翻訳精度は高くなく、あまり実用的なものではありませんでした。
そんな従来の機械翻訳を飛躍的に高精度へと引き上げたのが、現在主流になっているニューラル機械翻訳(NMT)です。人間の脳神経の働きをモデルとしたニューラルネットワークを使用し、自ら学習しながら翻訳を行います。AI翻訳とも呼ばれ、その名の通り、AIのディープラーニング(深層学習)を利用した翻訳です。単語の意味に忠実に翻訳するというより文章全体を一つのまとまりとして考え、文脈を意識して翻訳するというやり方のため、より自然に翻訳することができるのです。おそらく皆様が一番目にするGoogle翻訳もこのAIを活用したニューラル機械翻訳の一例です。
機械を使用した翻訳全般を機械翻訳と呼びますが、今回は主にAIを使用した機械翻訳、すなわちAI翻訳についてご紹介していきます。
■ 機械翻訳エンジン
AI翻訳と一口にいっても、そのAIにあたる機械翻訳エンジンは様々です。Google、Microsoft、T-400、DeepLなど多くの会社から提供されています。翻訳エンジンによって機能などの良し悪し、翻訳文書の種類や分野の向き不向き、コスト面などに違いがあります。また、翻訳エンジンによっては用語集を作ったり、翻訳文書の分野にカスタマイズしたりできるものもあります。無料トライアルを実施しているところも多いので、導入を考えている場合はまずは自分に合うものを探してみるのがいいかと思います。
■ 補足情報:自動翻訳
AI翻訳(機械翻訳)と自動翻訳は同一視されがちですが、自動翻訳は音声翻訳を指して使われることが多い言葉です。話したものを機械が聞き取り、それを翻訳して音声出力してくれるもので、複数の言語での通訳が必要な際はとても便利な存在でしょう。現在は観光や接客などの目的で売り出されているものが多い印象です。
2. 人による翻訳とAI翻訳の違い
おそらくAI翻訳と聞いて一番気になるのは訳文のクオリティ面だと思います。もちろん機械が翻訳しているため精度が向上したといっても、現状ではプロの翻訳者の訳文と比較すると精度が下がると言わざるを得ません。また、誤訳がある場合や原文の文章が丸ごと抜け落ちて翻訳されていない場合もあります。しかしながら、翻訳が必要だという時、必ずしも完璧な素晴らしい訳文が必要だということばかりではないでしょう。なんとなく内容が分かればそれで充分、それよりも短納期であることやコストを削減できることのほうが重要という場面もビジネスの現場では多いのではないかと思います。そういった場合にはAI翻訳はとてもメリットがあるでしょう。
3. ポストエディットについて
AI翻訳について回るのが誤訳や訳抜けです。単語ではなく文章のニュアンスを機械が学習して翻訳するため、自然な文章に見えるのに原文の意味とは変わってしまっているということが頻繁に起こるようになりました。いくら自然な文章になっていても原文と意味が変わっていては大問題です。そこでポストエディットという作業が重要になってきます。
ポストエディットというのはAI翻訳にかけた文章を人が原文と照らし合わせてチェックを行う作業です。この作業の目的は「意味の分かる文章」もしくは「正しい意味が予測できる文章」にすることです。誤訳、訳抜けがないか、固有名詞の訳出が間違っていないかなどを確認していくのです。またもしAI翻訳の訳文がわかりづらい場合はそれを修正することもあります。
テンナインにAI翻訳で依頼をいただいた場合必ずこのポストエディットの作業を含めて対応しています。また、基本的にはポストエディットの作業後、さらにもう一度チェックを行った後に納品しています。テンナインのトライアルに合格した者のみがポストエディットに対応しているのでどうぞご安心ください。
具体的なポストエディットの例文はこちらよりご覧ください。