内臓脂肪が増える原因の一つにお酒があげられます。本記事では、なぜお酒が内臓脂肪の増加につながるのか、また内臓脂肪を落とすためにどのようにお酒と付き合っていくのがベストなのかについて解説します。
肝臓がお酒のアルコールを分解すると内臓脂肪の増加につながる
お酒は血液の流れを良くして新陳代謝を高めたり、動脈硬化を予防したりしてくれます。また、心身をリラックスさせるのでストレスの発散にもお酒は効果的です。
昔から適度な飲酒は健康に良いとされていますが、多量のお酒は内臓脂肪の増加につながります。
口から入ったアルコールの約20%は胃から吸収、80%は小腸から吸収されるのですが、これら吸収されたアルコールの大部分は肝臓で処理される形になります。
その一方で、この過程で肝臓で中性脂肪の合成が促進されてしまったり、脂肪燃焼の働きが抑制されてしまったりします。
これが内臓脂肪の増加につながっていくわけです。
ようするに、お酒を摂取すると内臓脂肪が増加するのは人の体のメカニズムで、避けて通れないのです。
お酒を飲むと食欲が増し必要以上に食べてしまう
お酒のアルコールは胃壁を強く刺激するので、胃酸の分泌量が多くなります。
お酒を飲むと、おつまみを食べたくなるのはこのためです。
さらに良くないのは、アルコールが誘発する食欲はたちが悪く、内臓脂肪の増加につながる唐揚げや天ぷらなどの油ものや、ラーメンなど脂質の多いものを求めてしまうということ。
普段はきちんと内臓脂肪対策ができていても、お酒を飲んだとたんに誘惑に負けて暴飲暴食してしまったということは多々あるのではないでしょうか?
内臓脂肪はなぜ怖い?恐ろしい4つのリスク
健康診断などで内臓脂肪型肥満を指摘されても「それ自体重大な病気でもないし、特に気にする必要はない」と考える人は多いようです。
内臓脂肪型肥満に脂質代謝異常、高血圧、高血糖のうち2つ以上加わる状態を「メタボリックシンドローム(通称:メタボ)」と言います。
「メタボ」はなんとなく症状的にライトなイメージを持たれますが、実は内臓脂肪がたまって代謝異常を起こしている状態で、放っておくと深刻な病気につながります。
内臓脂肪の怖いところは主に4つ。
血圧や血糖値を上げてしまう
とはいっても、脂肪細胞はなんでもかんでも悪いものというわけではありません。
脂肪細胞は、ビタミンやミネラルをはじめ、アドレナリンやインスリン、男性ホルモンや女性ホルモンなどの「生理活性物質」を作り出す働きがあります。
これにより人の体の働きは調整され、病気を予防できているのです。
しかし、増えすぎてしまうと、とたんにリスクが大きくなります。
実は、脂肪細胞が作り出す物質の中には血糖値や血圧を上げてしまう働きのあるものも存在するのですが、脂肪細胞が増加すると、こういった「悪い物質」の方が多く作られるようになってしまうのです。
脂肪細胞が生み出す「悪い物質」は、血液中のブドウ糖を取り込むのを助けるインスリン(ホルモンの一種)の働きを悪くしてしまいます。
その結果、血中の糖濃度(血糖値)が下がらなくなってしまうのです。
血糖値が高い状態が続くと危険なので、脳は膵臓にもっとインスリンを分泌するように命令を出します。
しかし、高濃度のインスリンは血圧を上げる性質があるので高血圧になってしまうのです。
これは、糖尿病、アルツハイマー型認知症などにもつながっていきます。
血中に脂肪が増えてしまう
内臓脂肪が増加すると、血液中に余分な脂肪が増えていきます。
やがてそれは、脂質異常症(血液中の中性脂肪や悪玉コレステロール値が高い状態)を引き起こしますが、このような状態になると血液はドロドロです。
血液がドロドロの状態ですと、動脈硬化を起こしやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなります。