どんな人にもヨガは楽しんでいただけますが、近年、乳がん経験者に向けてのヨガクラスが増えているのをご存知でしょうか。 ここでは乳がんケアにおいてヨガができることをご紹介。
最近の乳がん事情についても詳しく解説していきます。
日本人の女性に一番多いがんが乳がん
乳がんは乳腺組織にできるがんで、ごく稀に男性にも発生することが報告されていますが、圧倒的に女性の罹患率が高いがんになります。
2020年の乳がん罹患者数は約9万2000人とされ、日本人女性がかかるがんとしては一番多く、また男女合わせても、2位の大腸がん、3位の肺がんよりも圧倒的に多いがんとされます。
乳がんの患者数は特に1990年台の後半から増加傾向にあるとされ、現在は9人に1人が乳がんになる可能性があるとか。
芸能人などでも乳がんを公表している人は少なくないですし、他のがんと違い20代後半や30代という若年層でも発生することから、ほとんどの女性が「他人事」とは思えない身近な病気の一つと言えるでしょう。
一方、乳がんは「治るがん」としても知られています。
特に早期発見早期治療ができれば、10年後の生存率は98%といわれます。
乳がんかどうかに気づくきっかけも、定期検診やセルフの触診によるものが多く、とにかく早期発見早期治療が大切とされます。
乳がんは他のがんと違い、日常生活と並行するがん
ではなぜ乳がんの経験者用のヨガがあるのか。
これは、乳がんの特徴と密接に関係しています。
乳がんは進行具合にもよりますが、初期の段階で見つかった場合は手術も短時間で終わり、入院も数日程度と短期間のケースがほとんどです。
例え乳がんになって手術をしても、外からみたら乳がんかどうか、手術をしたかどうかはおそらく誰からも気づかれないくらい、外見への影響もありません。
仮に乳房を全部摘出したとしても、近年は再建とセットで手術することも多く、外からみて「深刻な病気だ」と理解されないケースが多いのです。
また、乳がんになったことを自己申告する人もいますが、しない人も多く、しない場合は周りの人から病気だと気づかれることが本当に少なくなってしまいます。
しかも乳がんは30代後半〜60代前半の女性の発症率が高いがんです。
この世代の女性は非常に忙しく、現役でお仕事をされているだけでなく、子育てや自分の両親やパートナーの両親の介護をしている人も少なくありません。
つまり、乳がんの手術や治療をしながら、自分の生活を今までと変わりなく続けていかなければいけない女性がほとんどなのです。
これが乳がんの最大の特徴と言えるでしょう。
乳がんで乳房や腋窩リンパなどにメスを入れても、それが原因で歩けなくなるとか立ち上がれないといったこともほとんど起こらないようです。
手術が終わった後、多少腕が上がりにくくなったり、疲れやすかったりはしても、多くの女性は車椅子などを使わず、自分の足で歩いて今まで通りの生活や仕事に戻っていきます。
「がんの手術をした」と話したら、周りが驚くほど普通の日常に戻れるのです。
でもこれは乳がんを経験した女性にとって、メリット・デメリットの両方になります。
がんの治療と並行する日常生活に寄り添うヨガ
本当は薬の副作用があったり、今までより疲れやすくなったり、まだ体調は万全とは言えないのに下半身に不自由がないので、どうしても今まで通り活動してしまう。
これは術後の体に非常に強い負担になります。
また、手術をした腕や胸に多少痛みや違和感を感じても、カバンをもったり、高いところのものを取ったり、ある程度のことができてしまいますが、これも体には案外負担になるのです。
これらの問題を全て優しく包み込んでくれるのが、乳がん用のヨガや乳がんのリハビリ向けのヨガです。