この記事は書籍『本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』の内容を抜粋したものになります。
※以下、書籍より抜粋
NISAを活用して資産形成する方法
これから資産形成を始める方にぜひご活用いただきたいのが、2014年1月から始まったNISAです。「少額投資非課税制度」という正式名称のとおり、NISAの口座で投資した金融商品で得られた利益は非課税になる点が最大のメリットです。
通常、株式や投資信託に投資をして利益が出たときは20%(復興特別所得税分0.315%を除く)の税金がかかります。しかし、証券会社や銀行にNISA用口座を開設し、その口座で購入した場合は0%になるのです。以下、まだ「NISA」をご存じない方のために、簡単に制度内容をご説明します。すでにご存じの方はこの項目を飛ばしていただいてもけっこうです。
まず、NISA用の口座を金融機関に開設する必要があります。口座開設ができる金融機関は、銀行や証券会社、ゆうちょ銀行、信用金庫などで、ネット銀行やネット証券でもできます。
口座開設は、国内に住み、申し込み時の年の1月1日時点で20歳以上であれば誰でもOKです。具体的な手続きは、申込書と一緒に住民票を提出するだけです。なお、NISA口座は1人につきひとつしか開設できません。
NISAには期限があり、2027年12月終了予定となっています。ただし、新規に投資ができるのは2023年まで。また、非課税となる期間も決まっていて、最長は5年間です。たとえば、2018年1月に投資信託を買ったとすると、利益が非課税となるのは2022年12月までに売却した分です。
NISAを通じて、さまざまな金融商品に投資ができます。株式、投資信託(一部除く)、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)などが対象です。
投資できない金融商品は、定期預金などの預貯金、個人向け国債や社債、外国債券といった各種債券、公社債投資信託、そして外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)などです。
注意が必要なのが、口座開設する金融機関によって、購入できる金融商品は異なること。銀行やゆうちょ銀行、信用金庫で購入できるのは投資信託に限られており、株式やETFは購入できません。証券会社であればすべて投資できます。また、投資信託はすべての金融機関で購入できますが、ラインナップは会社によって異なります。
実際に投資をする上で、もっとも重要なポイントは投資金額に限度があることです。NISA口座の1年間の最大投資枠は120万円で、その120万円の枠は毎年追加されます。2年目は240万円、3年目は360万円……と増えていきます。
非課税期間は5年間なので、5年後には最大で600万円の資金を運用することになります。そして、6年目にも120万円の枠が追加されますが、1年目の枠がなくなるので、最大投資枠600万円は同じです。
この年間120万円の枠を使い切る必要はありません。ただし、投資をせずに残った枠を翌年以降に持ち越すことができません。投資信託を50万円しか買わなかった場合、残りの70万円の枠は翌年に持ち越せず、翌年の限度額は120万円のままです。
そして、NISA口座で購入した金融商品は、いつでも売却できます。売却して得られる資金も、いつでもNISA口座から引き出せます。しかし、いったん売却した投資枠は再利用できないことには注意が必要です。
たとえば、2018年1月に120万円で投資信託を購入したとします。この時点でその年の投資枠は使い切ったことになります。半年後に50万円分を売却すると、購入した投資信託の価格が変わらなかった場合、NISA口座の残高は
70万円になりますが、売却分の50万円の枠は再利用できません。つまり、120万円の枠というのは購入金額の上限なのです。120万円に達するまで売買を繰り返すことは可能ですが、120万円を超えた分は非課税になりません。
最後に、NISAのデメリットについても触れておきましょう。
5年間の非課税期間が終了したときに投資していた株式や投資信託に損失が発生していた場合、利益が非課税になるというメリットを享受できないことに加え、普通の課税口座なら活用できるメリットも適用されなくなります。課税口座では、他の課税口座で投資している株式や投資信託に利益が出ていれば、損失が出ているものとの相殺が可能です。
損失と相殺することで、本来なら課税される利益の税金を減らすことができるのです。また、損失は3年間繰り越すことができます。利益と相殺できるチャンスが、3年間続くということなのです。
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篠田尚子(しのだ・しょうこ)
楽天証券研究所ファンドアナリスト。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。2006年ロイター・ジャパン(現トムソン・ロイター・マーケッツ)入社。2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。現在は日本の投資信託市場動向を国内外のメディア等へ配信しながら、海外の投資信託市場の分析も手がけている。
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