この記事は書籍『本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』の内容を抜粋したものになります。
長期投資をオススメする本当の理由
これまでに資産運用や投資について書かれた本は、ほぼ100%といっていいくらい、長期投資を勧めていると思います。
「投資信託の購入は投資期間が長くなるから早ければ早いほどいい」とか、「投資期間が長くなればなるほど将来のリターン(収益)が大きくなる」。これ自体は間違いではないのですが、このままだと誤解を生む可能性がありますので、少し補足を加えたいと思います。
現代の投資理論からすると、投資期間を長期化させても、金融商品自体のリスクを減らすことはできません。
より正確にいうと、長期化すればするほどリスクも大きくなります。これは、前述した投資期間が長くなればなるほど将来のリターンが大きくなる、ということと表裏一体の関係にあります。
ただし、専門的な話になりますが、投資する金融商品の期待リターンがプラスの場合、運用期間が長くなるほど元本が減る確率は低くなるといえます。この事実を根拠として、「長期投資はリスクを小さくする」と主張している可能性はあります(正確にいえば誤りです)。とはいうものの、現実にはそれほど多くないでしょう……。
では、長期投資には意味がないのかというと、そうではありません。長期投資と積み立て投資を組み合わせることで、リスクとリターンを抑制できるからです。積み立て投資の時間分散効果で、リターンは小さくなりますが、リスクを抑えることが可能になります。
つまり、長期投資でリスクを小さくできると述べる際、「積み立て投資で長期投資をするとき」と付け加えないと、間違いになってしまうケースが多いのです。
これは推測ですが、たんに「長期投資はリスクを小さくする」といっている場合、積み立て投資のメリットを長期投資のメリットと混同している気がします。積み立て投資である程度の資産を築こうとすれば、おのずと長期間続けなければなりません。この点を混同している人が少なくないのではないでしょうか。
また、特に根拠を明らかにしなくても、「長期投資はリスクが小さくなる」という主張は、「長く投資していればそのうち儲かるときもあるだろう」といった、誰もが共感しがちな希望的観測に結びつきやすく、書いている人も読んでいる人も、たいして違和感を覚えないこともありそうな気がします。
積み立て投資とは異なり、資金を一度に金融商品に投入する「スポット投資」は、基本的に投資期間が長くなればなるほど、投資した金融商品のリスクとリターンが大きくなります。
しかし、「だから、スポット投資での長期投資はダメだ」という結論にはこちらもなりません。大きなリターンが期待できるのであれば、長期投資をすべきなのです。
「でもリスクが大きいんでしょ……」という声が聞こえてきそうですが、リスクは投資する資金の量で調整できます。当然、多くの金額を投資するほうが、少ない金額で投資するよりもハイリスク・ハイリターンになります。
あくまで投資家の条件によりますが、余裕資金をすべて資産運用につぎ込むのは、リスクが高すぎるといえます。
ある程度の現金、あるいは預貯金を持っておくべきでしょう。長期投資で大きなリターンが期待できるようなリスク商品に投資をするのは、余裕資金の一部にとどめておくほうが無難といえます。
たとえば、投資信託の中で、海外株式に投資する商品は、ハイリスク・ハイリターンに分類されます。
したがって、長期投資ができれば、投資する金額が比較的少額であっても、大きなリターンを生む可能性があります。投資家にとって適切な資金で投資をすれば、効率的な運用になりえます。
このように、投資のリスクというのは、金融商品を選択することだけで調整するものではありません。投資する金額を調整することで、リスクの調整もおこなえます。
この点が見落とされやすいので、ぜひ覚えておいていただければと思います。
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楽天証券研究所ファンドアナリスト。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。2006年ロイター・ジャパン(現トムソン・ロイター・マーケッツ)入社。2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。現在は日本の投資信託市場動向を国内外のメディア等へ配信しながら、海外の投資信託市場の分析も手がけている。
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