◆『自分をちょっと査定にだしてみようかな』の気軽さで受診を

青山:しんどさってゆっくり時間をかけて、確実に心と体を蝕んできます。たとえば、ある日突然空気がなくなったらパニックになるけれど、徐々に酸素濃度が減らされていく感覚に近いかも知れません。

 益田先生も仰っていた、「クリニックに行く感覚は、『自分をちょっと査定にだしてみようかな』それくらいの気軽さでもいいんですよ」という言葉は、当時の自分にも聞かせてあげたかったなあ。

<文/青山ゆずこ 撮影/山川修一>

【益田裕介】

早稲田メンタルクリニック院長。精神保健指定医、精神科専門医・指導医。防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニックを開業。YouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」を運営し、登録者数45万人を超える。患者同士がオンライン上で会話や相談ができるオンライン自助会を主催・運営するほか、精神科領域のYouTuberを集めた勉強会なども行っている。著書に『精神科医が教える 親を憎むのをやめる方法』(KADOKAWA)、『精神科医の本音』(SBクリエイティブ)など

【青山ゆずこ】

フリーライター、マンガ家、原作者。おもに週刊誌や月刊誌で活動。「マジメなことは面白く、面白いものはマジメに」がモットー。2011年からおよそ7年間“夫婦そろって認知症”となった祖父母との同居を通してヤング・若者ケアラーに。著書に『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)など。突如庭に産み落とされた、へその緒がついた猫のお世話に奮闘した漫画『へその緒がついた赤ちゃん猫を拾った!だけど医師の「厳しい言葉」で目の前が真っ暗に(前編)』『「赤ちゃん猫のお世話で、1ヶ月休みます」仕事相手に伝えたら…“意外すぎる反応”に驚いた(後編)』

X(旧Twitter):@yuzubird

【青山ゆずこ】

漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)を上梓。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird