◆「私なんかが精神科に行っていいの?」と思ってしまったことも

益田裕介先生
益田裕介先生
青山ゆずこ(以下、青山):私自身も過去に精神的に落ち込んで、“精神科”の文字が頭をよぎったことがありました。でも、行けませんでした。

その理由は「まったく想像のできない世界」ということに加えて、「私なんかが精神科に行っていいの?」と思ってしまったことも大きな原因です。

「この程度の悩みで行ってもいいのかな」「追い返されないかな」「もう少し耐えられるかも……!」という思いが、永遠に脳内でループされているようなイメージです。

この「自分の限界のサイン」、自分では意外と見落としがちだったり、ガマンをしたり、気づかないふりをしてしまいがちですよね。

益田裕介先生(以下、益田):ぼくの体感的な統計になりますが、精神疾患に対して理解のある人は、職場や友人、家族の中では3割くらい。

まったく理解のない人も同じ3割くらいで、残りの4割が無関心という印象を受けます。

うつ病については、実はまだ分かっていない部分も多いです。ひと言で言うと、「3~6カ月の落ち込みを繰り返す、脳の病気」であるということ。回復には時間がかかりますし、3分の1の人は薬が効きません。

うつになった原因がはっきりしている場合は、僕らは“適応障害”と診断しますが、治りが悪かったり、何度も繰り返す場合は、“うつ病”という病名になることが多いのです。