こうしてキプロスは南北で分断され今に至ります。

ファマグスタの歴史

ファマグスタ旧市街は、多くがフランス発祥の一族リュジニャン家によって建設されました。ファマグスタをコレほどの街に仕立てたのは彼ら。もちろんフェニキア人がここを開拓し土台は建設しました。

リュジニャン家は1184年にエルサレム王国の王位を継承し、1192年にキプロス王国の初代国王となるというモッスゴイ名家。リュジニャン家の統治下でファマグスタ(旧市街)は繁栄し、中世ヨーロッパおよび東地中海貿易の中心地として重要な役割を果たしました。

ファマグスタ旧市街の城壁もリュジニャン家によって建設されています。到着したときは私も思わず動画を撮ったほど非常によい保存状態です。これは、先述のとおりその後に脆弱性が指摘され、ヴェネツィア支配下(1500年代)で強化策が図られます。

結局のところ1571年にオスマン帝国により包囲されますが、3世紀以上も放置され、地震や洪水も重なって、1878 年にイギリス軍が到着するまでに街の大部分が廃墟となっていました。

現時点、ヴェネツィアから700年以上も経過しているにも関わらず、それほどの経年劣化も感じさせません。世界的に有名にならなかったことで人の往来を避け、無用な破損を防げているようにさえ思います。

キプロス島沿岸で一番海底が深く、かつてコンスタンティノープルやベニスに匹敵する港だったファマグスタは、数世紀にわたり様々な帝国に支配され、その当時その時々の遺跡が旧市街の至る場所に点在しているのです。

そこで、その素晴らしい建築群をご紹介しようと思いますが、その前に毎度の歴史を簡単にまとめます。

ファマグスタの歴史は主に、

  • 古代:フェニキア人によって建設され、地中海貿易の中心地として繁栄(BC.16世紀~)。
  • 中世:ビザンチン帝国(AC.4世紀)、アラブ帝国(7世紀)、十字軍(11世紀)が支配。
  • ルネサンス:ヴェネツィア共和国(12~15世紀)が支配し、この頃に美しい建築物を多く建てる。
  • オスマン帝国:オスマン帝国(16世紀)に征服され、文化が大きく変化。
  • イギリス統治:イギリスの統治下(19世紀)に入り、近代化が進む。
  • キプロス紛争:1974年のキプロス紛争以降、トルコ系住民が居住する地域となり現在に至る。