掛け捨て型の医療保険に加入するメリット
解約返戻金がなく「もったいない」と思われがちな、掛け捨て型の医療保険。しかし、このタイプの医療保険には、以下のようなメリットがある。
貯蓄型に比べて保険料が安い
入院や手術などのリスクは、年齢に比例して高くなる。そのため、毎年の保険料は年齢とともに上がっていくはずであるが、保険会社はこれを避けるべく、保険期間中における「払込保険料」と「支払保険金」が契約全体として等しくなるよう、毎月同額の保険料を設定している。これにより、保険期間の前半は支払保険金が払込保険料を下回ることになる。この差額部分を「責任準備金」と呼び、保険会社は将来の保険金の支払いに備えて、これを積み立てている。
積み立てておくべき責任準備金は、支払う可能性がある保険金額に比例して多くなるし、責任準備金が多くしようとすれば、その分だけ保険料も上がる。この点、掛け捨て型の医療保険で保険会社が支払うのは、入院給付金や手術給付金、その他特約による給付金に限られる。つまり、貯蓄型のように加入者に対して将来払い戻す金額を考慮する必要がないのだ。そのため、掛け捨て型の医療保険は貯蓄型の医療保険に比べて積み立てておくべき責任準備金が少なく、その分、保険料を安く抑えられるのである。
新商品への乗換えが容易
公的制度や医療事情は、日々変化している。そのため、現在加入している保険では入院や手術への備えが不十分になる日が、将来的に訪れるかもしれない。そういった場合は保障内容の見直しや新商品への乗換えを検討する必要があるのだが、貯蓄型の医療保険に加入していると、「いま解約すると返戻金が低いためもったいない」という意識がはたらき、乗換えに億劫になってしまうことがある。
この点、掛け捨て型の医療保険であればそういった「縛り」がないため、新商品への乗換えを検討しやすいのだ。もちろん、貯蓄型の医療保険に加入している人が、解約返戻率が高くなるタイミングを待って乗り換えることも不可能ではない。しかし、医療保険の保険料は年齢を重ねるにつれて高くなるし、健康状態によっては新商品への加入が難しい場合もある。
掛け捨て型の医療保険に加入するデメリット
掛け捨て型の医療保険に加入するデメリットはやはり、「解約返戻金がない」という点に尽きるだろう。保険期間中に入院したり手術を受けたりしなかった場合、払い込んだ保険料を「丸損」してしまうことになる。
ただ、前述のように掛け捨て型の医療保険は、貯蓄型に比べて保険料が安く設定されている。そのため、「解約返戻金がない」というのは、メリットと背中合わせのデメリットといえるだろう。