厚生年金の受給額の計算シミュレーション
ここまで説明してきたことを踏まえ、65歳以上の厚生年金のおおよそ受給額を計算してみる。報酬比例年金額は2003年3月までの給与金額と2003年4月以降の給与金額がそれぞれ計算に必要なので、そちらの金額をそれぞれ指定してシミュレーションする。
Cさんは、2003年3月までの平均給与は40万円で加入期間は20年、2003年以降の平均給与は70万円で加入期間は10年だった。配偶者もおらず、18歳未満の子供もいない。この場合は報酬比例年金額が年114万404円、経過的加算が285円、加給年金額は0円となり、年114万4,689円を受け取ることができる計算となる。
Dさんは、2003年3月までの平均給与は60万円で加入期間は30年、2003年以降の平均給与は100万円で加入期間は10年だった。配偶者がおり、18歳未満の子供が2人いる。このケースでは、報酬比例年金額が219万3,431円、経過的加算が380円、加給年金額が83万9,100円となり、合計で年303万2,911円の受給を受けることができるという計算となる。
この額は厚生年金受給額なので、国民年金の受給資格を得ている人はこの厚生年金受給額に加えて国民年金も受給できるということになる。
日本の年金制度の変遷とは?
日本の年金制度は太平洋戦争中の1942年にスタートした。労働者年金保険法が発足したのが始まりで、この法律は1944年に厚生年金保険法に改称され、1947年に全面改正される。1961年には国民年金法の全面施行が行われ、国民皆年金が導入されることとなった。この期間は年金制度の創成期とされる。
1965年までは、厚生年金の定額部分は年金に加入していた期間とは関係なく算出されていた。しかし、1965年の改正で加入期間が受給金額に対応する仕組みに改められた。1973年には物価に応じて支給額が変動する「物価スライド制」が導入されたほか、標準報酬の再評価なども行われた。
1985年以降は高齢化に対する対応なども政策として行われた。1985年には基礎年金が導入され、1997年には厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられた。2000年にはJR共済とJT共済とNTT共済の3つの共済が厚生年金に統合され、2002年にはこれに加えて農林共済も厚生年金に統合されている。
世界的には受給開始年齢が引き上げられる傾向
年金制度は世界的にも高齢化などの影響を受けながら、年金受給の開始年齢が徐々に引き上げられる傾向にある。日本では国民年金と厚生年金は60歳から70歳の間で受給開始年齢を選択できるが、今後は70歳以上に引き上げられる可能性もある。
また年金制度自体にも変化が出てくる可能性もある。世界的に見ても年金制度は各国・地域の制度がバラバラで、制度のメリットやデメリットもそれぞれ存在している。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/ZUU online
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