国民年金の受給額の計算シミュレーション

Aさんは国民年金保険料を40年間分支払い、全額免除や半額納付などの適用がされたことはない。年金の受給は繰り上げ請求を行って、63歳から受給を開始した。

受給額を計算するには、まず65歳からの受給額を算出する。保険料全額納付済月数480カ月(40年間)を固定値である480カ月で割り、それに77万9,300円をかける形になるので、65歳から受給する場合の額は満額の77万9,300円となる。これに63歳から繰り上げ受給する場合の減額率20.0%を反映させ、年間の受給額は62万3,440円となる。

Bさんは、国民年金保険料を30年間分支払ったが、そのうち10年間は半額納付だった。また、全額免除された月がこのほかに5年間あった。一方で受給開始年齢については繰り下げ請求を行い、69歳から受け取った。

このBさんが65歳から受給したときの額は、保険料全額納付済月数240カ月(20年間)に半額納付分90カ月(10年間×75%)全額免除分と30カ月(5年×50%)を足した額を固定値である480カ月で割り、それに77万9,300円をかける形になるので、58万4,475円になる。69歳からの受給は増額率が64%なので、最終的には95万8,539円となる。

Cさんは、国民年金保険料を支払ったことが無かったが、全額免除月数が10カ月あった。受給については繰り上げ支給を行い、年金は65歳から受け取った。この場合、65歳からの基本受給額は60カ月(10年×50%)を固定値である480で割り、それに77万9,300円をかける形になるので年9万7412円となる。

厚生年金の受給額の計算方法とは?

厚生年金は、1カ月以上の加入期間があれば受給することが可能だ。支給開始年齢は原則として60歳となっており、65歳未満の人と65歳以上の人で計算方法が異なる。65歳未満の場合は「定額部分」「報酬比例部分」「加給年金額」を合計した額が受給額となる。

まず定額部分は「1,625円」に「生年月日に応じた率」と「加入期間月数」をかけて算出される。生年月日に応じた率は表で定められており、加入期間月数は1934(昭和9)年4月2日~1944(昭和19)年4月1日生まれの人は444カ月、1944(昭和19)年4月2日~1945(昭和20)年4月1日生まれの人は456カ月、1945(昭和20)年4月2日~1946(昭和21)年4月1日生まれの人は468カ月、1946(昭和21)年4月2日以降に生まれた人は480カ月が上限。報酬比例部分は平均給料に一定乗率と加入期間をかけた金額となる。

加給年金額は、厚生年金保険の加入期間が20年以上あり、定額部分の支給開始年齢に達したときに配偶者や子供がいるときに加算される。65歳未満の配偶者がいる場合の加給年金額は年額22万4,300円で、18歳未満の子供の1人目と2人目が対象となる加給年金額は年額各22万4,300円、3人目以降の子供が対象となる加給年金額は年額7万4,800円となっている。また、厚生年金受給者の生年月日によって3万3,100円から16万5,500円が特別加算される。

65歳以上の場合は「報酬比例年金額」「経過的加算」「加給年金額」を合計した額となる。報酬比例年金額と加給年金額の計算方法は65歳未満の場合と基本的には同じで、経過的加算の計算式も別途定められている。

また65歳未満の場合も65歳以上の場合でも年金受給資格者が企業勤めを続け、勤務先で厚生年金に加入しながら厚生年金を受給している場合、厚生年金の合計額や月給の合計額によっては年金の支給が停止されることがある。