かの有名な「金持ち父さん貧乏父さん」の本の中では「自動車は資産ではなく負債である」と紹介されている。会計学の定義上、自動車はBSの資産の部に計上されるが、同書の中では、

  • 資産…保有するとお金が増えるもの
  • 負債…保有するとお金が減るもの と定義されている。だが、これはあくまで好きな自動車を買って普通に乗り回す場合だ。同じ自動車でも「高値売却」という出口戦略を持っているなら、それはお金を生み出す資産になりうる。お金持ちがフェラーリやランボルギーニを所有するのは、有り余るお金をムダに浪費するためではなく、多くの場合は資産性を考えてのことなのだ。

    フェラーリやランボルギーニは車ではなくアート

    高級外車といえば真っ先に思いつくのが、ベンツ、BMWといった車だが、フェラーリやランボルギーニはまさに「別格」だ。普通、どんな高級車でも買って10年以上経つと中古車としての市場価値は下がるのが常識だが、フェラーリやランボルギーニは時間が経過しても1,000万円を下ることはほとんどない。それどころか車種によっては購入時以上に価値が高くなる場合すらある。

    自動車は大型の工場で機械によって生産される工業製品だ。だが、フェラーリ・ランボルギーニは違う。製造工場の動画によると、ヴァイオリンを熟練職人が手作りをするような作業風景を見ることができる。そう、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーは、ロボットで一定の規格の基づく大量生産をする工業製品ではなく、職人の手作りで生み出される「アート」に近い属性を持っているのだ。

    当然、手作り故のデメリットも存在する。まずは人件費。大量生産が出来ず、人の手で作り上げるので1台あたりの原価は大衆車や他の高級外車とは比較にならないほど高い。また、出来栄えの品質もばらつきが出てしまい、ボディー外板についていえば組み立てながらばらつきの辻褄を合せていく、という大衆車では考えられない製造工程をたどることになる。

    フェラーリやランボルギーニは株式以上の利回り?

    フェラーリやランボルギーニは売却利益が狙える資産性の高さを秘めている。

    イギリスの経済誌「The Economist」の発表した「Valuable Index」は、美術品やヴァイオリン、クラシックカーといった実物資産を株式のインデックスと比較したものである。同指標によると、2003年を100と指数化した場合に、10年後の2013年のValuable Indexは311と3倍以上に増加、そしてクラシックカーはなんと500を超えている。

    (写真=The Economist)

    この指数は、時間の経過とともに資産性を高めるフェラーリやランボルギーニの力を示したものと言えるだろう。確かにフェラーリやランボルギーニの購入には大きな資金が必要なのだが、売却時に価格が落ちない、またはそれ以上の金額で売れる公算が大きいというなら実物資産への投資と同義だ。購入して乗った瞬間に価値が暴落し、売却時には二束三文でしか売れない大衆車とは全く異質の資産といえる。

    筆者の家族はレクサスのLSを新車で1,000万以上の価格で購入したが、約10年乗った下取り価格は100万円だった。10年で価格が10分の1になったのだから、国産の最高クラスの自動車でも資産性はほとんどないのだ。

    乗り回すには維持費がかかる

    ただし、フェラーリやランボルギーニを運転して楽しむのには、とにかくお金がかかる。

    フェラーリを保有する友人(六本木のIT社長)が保有するフェラーリは車幅がとても大きいので、自宅のマンションの駐車場には停められず、高級ホテルの駐車場に月10万円を支払って駐車しているのだという。また、車検は国産大衆車とは比較にならないほど高額で、燃費も1リットル/8km程度しかない。友人は「初めて乗った時はあまりにも燃費が悪いので、どこか故障しているかと思った」と笑いながら教えてくれた。

    資産性の高いフェラーリやランボルギーニだが、あまり遊びすぎるとその維持費の高さ故にかえって高くつく可能性はある。最も賢い買い方としては、購入した後車庫に眠らせておいて高値がついたタイミングで売却してしまうという方法だろうか。

    文・黒坂岳央(高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表)/ZUU online

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