そこで、プラスチックを分子レベルで分解して化学的に再合成するケミカルリサイクルが期待されている。ケミカルリサイクルでは品質低下を招くことなく、恒久的に資源を循環させることができる。しかし、プラスチックの多くはリサイクルを前提に開発されたわけではないため、分解技術の開発が課題になっていた。

 今回の研究成果は,単一原料から多様なプラスチックのケミカルリサイクルを実現する画期的な発見で、「複数種のプラスチックを共通する原料から製造し、共通する原料に分解、再生する技術による効率的な資源循環システムは、脱化石資源やプラスチックごみの削減を実現する上で理想的なモデル」としている。

 さらに、プラスチックを合成する際の反応温度を調整するとビニル系プラスチックとポリエステルの構造が折衷したプラスチックが製造できることも見出した。これらのプラスチックは強アルカリ処理により分解し、原料物質である酢酸とサリチル酸を再生する。つまり、アスピリンから化学構造や性質が異なる多様な循環型プラスチックを誘導できることが明らかにった。