夫の口座に義父の「遺産500万円」があります。家計管理は妻の私が行っているのでお金を移したいのですが「贈与税」がかかるかもしれないって本当ですか?
去年義父が亡くなり、夫の口座に遺産500万円が入金されているという妻のAさん。家計管理をしているはAさんなので、Aさんの口座に遺産を移したいそうなのですが、友人に「それ、贈与税がかかるかも」と言われ、心配になりご相談に来られました。

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夫の口座から妻の口座に遺産を移すだけでは、贈与税の対象となる可能性あり

日本の税法では、年間110万円を超える資金の受け渡しは原則として 贈与 とみなされ、贈与税が課される可能性があります。したがって、夫が相続した遺産をAさんの口座に移す行為は、形式上「贈与」と判断される可能性があるのです。
 
500万円を単純にAさんの口座へ移し、それが贈与とみなされた場合、基礎控除110万円を超える部分 390万円 に対して贈与税が発生し、約 54万円(暦年贈与の税率15%+10万円)が課税される可能性があります。
 
この課税の可能性を回避するために、以下のような方法が考えられます。
 

贈与税を回避する方法1 夫の口座から生活費として使用する

夫婦間のお金の移動でも、「日常生活に必要な生活費の支払い」であれば贈与には該当しません。
 
例えば、夫の口座から“直接”住宅ローンの支払い、生活費の振り込み、教育費の支払いを行う ことで、実質的にAさんが管理することが可能です。
 

贈与税を回避する方法2 毎年基礎控除の範囲内で分割移動させる

贈与税の基礎控除 110万円以下であれば、税金はかかりません。
 
例えば、毎年110万円ずつ 4年半かけて移動させれば、税務上の問題はありませんので、課税されることなくAさんの口座に移せます。
 

贈与税を回避する方法3 夫婦間での財産分与の名目での移動

夫がAさんに「財産分与」として資産を移す形をとることで、贈与税の対象外になる可能性があります。
 
財産分与とは、離婚や財産の整理などの際に、夫婦間で財産を公平に分けるための法的な手続きのことです。 しかし夫婦が円満な関係にある場合は、税務上この理由が認められにくい点に注意が必要です。
 
例えば、夫が過去に家計に対して拠出を怠っていた場合には、「これまでの生活費の清算」として財産分与を主張できる可能性があります。
 
あるいは、夫婦の共同財産である住宅ローンをAさんが主に負担してきた場合は、「夫が遺産をAさんへ分与することで財産のバランスを取る」という理由付けも成り立ちます。
 
税務調査の際には「夫婦間の財産調整として正当な理由があるか」が問われると理解しましょう。したがって、この対策は税理士に相談することをお勧めします。
 

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