今では、ほとんどのコンビニ・自動販売機で見かけるペットボトル入りの緑茶(以下、ペットボトル緑茶)。ランチに通勤途中に休日のレジャーに、手に取る方は多いと思います。シンプルな緑茶飲料がどのように市場を拡大していったのか、誰でも一度は飲んだことのある「ペットボトル緑茶」の歴史に触れながら、主要ブランドにはどんな違いがあるのか調べてみました。

ペットボトル緑茶の歴史

缶やペットボトル入りの緑茶の歴史は1980年代まで遡ります。1980年に株式会社伊藤園(以下、伊藤園)が缶入りのウーロン茶を開発・一部地域で販売し、その5年後に「缶入り煎茶」を販売、これが緑茶飲料の歴史の幕開けとなります。

その後、世界で初めてペットボトル入り緑茶飲料が発売(1.5リットル)されたのは1990年のことです。1996年に500ミリリットルのペットボトル、2000年にはホットタイプのペットボトルが販売開始されました(いずれも伊藤園「お~いお茶」)。

2000年ごろはウーロン茶飲料の生産量が多かったのに対し、次第に緑茶飲料の生産量が大きく引き離すまでになります。

総生産量は清涼飲料のうち、10位から2位へと急成長

一般社団法人・全国清涼飲料連合会が公表しているデータから、緑茶飲料の市場推移についてみてみましょう。

統計で一番古い1999年の時点で、炭酸飲料など清涼飲料12種のうち総生産量1位は「炭酸飲料」、次いで「コーヒー飲料」が占めており、「緑茶飲料」は炭酸飲料の1/3も満たない10位でした(参考:清涼飲料品目別生産量推移)。もともと酸化による味の劣化など技術的な問題を抱え、緑茶の市販化は他の飲料と比べて遅れていたのです。

しかし20年の間に市場は爆発的に成長し、同連合の「全清飲2019活動レポート」によれば、2018年の総生産量(実績)の1位「炭酸飲料」に次いで2位に「緑茶飲料」と大きく躍進しました。

空前の緑茶飲料ブームへ

緑茶飲料は、ペットボトル販売を皮切りに“いつでもどこでも飲める”利便性から飲用シーンを拡大、先駆けの「お~いお茶」を追うように、2000年にキリンビバレッジ株式会社(以下、キリンビバレッジ)が発売した緑茶飲料「生茶」が大ヒット。同年、緑茶飲料市場は前年比約50%(生産量)も拡大し市場は活性化していきます。

2001年には、トップシェアの伊藤園が季節限定品の「お~いお茶 新茶」を発売し、ラインアップを充実させる展開へ。2004年にはサントリーフーズ株式会社(以下、サントリー)が老舗・福寿園と共同開発した「伊右衛門」を発売、2007年には日本コカ・コーラ株式会社(以下、コカ・コーラ)から「綾鷹」が発売され、ここで現在の4大ブランドともいえる商品が出揃います。

市場を争う4ブランド

4ブランドはどのように市場競争を展開しているのでしょうか。まずは消費者からの人気について参考になりそうなデータをチェックしてみましょう。

2019年11月に、NTTレゾナントが運営するランキングポータルサイト「gooランキング」が発表した「一番おいしいペットボトルの緑茶」についてアンケート調査の結果は以下の通りです。

これに続いて、サントリーの「伊右衛門」が4位につきます。対して販売実績は上記のランキングとは異なる結果に。各社の実績をリリースなどからみてみましょう。

【伊藤園】
伊藤園の「お~いお茶」ブランドにおける2018年の販売実績は、過去最高となる約9,000万ケースを突破し、2019年5月に「最大のナチュラルヘルシーRTD(最新年間売り上げ)」販売実績世界一としてギネスの世界記録に認定されました。

【キリンビバレッジ】
「生茶」は2000年に発売し初年度で約2,250万ケースを売り上げ、当時爆発的ヒットを果たしました。現在「生茶」を主力とした日本茶カテゴリの販売実績は、約3,451万ケースとしています(2018年実績)。

【サントリー】
サントリーの「伊右衛門」は2004年に発売、2020年4月には発売以来最大のリニューアルを実施したことが話題となりました。2018年のブランド全体の販売実績は5,370万ケースに上っています。

【コカ・コーラ】
4ブランドの中でも後発のコカ・コーラ「綾鷹」は2007年の発売以来増加の一途をたどっており、年間出荷本数は6,000万ケース規模といわれています。