生活に欠かせない水道料金は自治体によって違うのはご存知でしょうか? 安い自治体と高い自治体では8倍以上、年間7万円以上も差が出てくることも。都道府県ごとに水道料金がどれほど違うのか調査してみました。

水道料金は自治体によって違う

毎日の生活に欠かすことができない水ですが、その料金は自治体によって異なります。平均的な家庭での使用量は1ヶ月に20㎥。この量を山梨県富士河口湖町で使用すると1,195円ですが、北海道夕張市では6,852円になりその差は約7倍です。年間にすると67,000円以上も変わってくるというのは驚きですよね。

また全国的に水道料金の値上げを実施していることから、今後の家計にも影響が出てくることが予想されます。毎日の生活の中で使う水だからこそ、現在住んでいるところや移住先の水道料金は知っておいた方が良いでしょう。

なぜ自治体によって水道料金が違うのか

水道事業は地方自治体が独自で運営しているため、料金水準にも大きな地域差があります。どのようなことが原因で水道料金が変わるのか理由を見ていきましょう。

自治体によって水道料金が違う理由1:地理的要因

自治体によって水を確保する水源の水質や水量は異なります。浄化処理やダムにかかる費用が高い地域であれば、その分水道料金が高くなるのです。水源までの距離が近いのと遠いのとでは、水を届けるための水道管やポンプの維持費の差が出てくるでしょう。水質の状態が悪い場合も同様で水質を良くするための浄化処理に費用がかかります。このような地理的要因で水を確保するための費用や維持費がそれぞれ違うため、料金水準も自治体によって異なるのです。

自治体によって水道料金が違う理由2:歴史的要因

水道布設年次や水利権によっても水道料金の基準の差が生まれます。水道管の老朽化に伴う改築や浄水施設の更新が必要な地域ではその財源を確保するために、水道料金の値上げを実施しなければなりません。水道管の法定耐用年数は40年で、これを超える地域では更新が必要になるでしょう。しかし自治体によっては水道管の修繕や更新にかかる財源の確保が充分にできず、更新の計画の内容や時期が異なることも料金水準の差が生まれる原因と1つとして考えられます。

また、河川には水利権が設定されており、水道業者は河川の水利権を得ることで、所有する地域の河川の水を水道水として自由に使うことができます。しかし、その地域の河川で水道水の必要量がまかなえない場合は、他から水を購入する必要があり、受水費が発生します。受水費は水道水の原価に含まれるため、地域によって水道水の料金水準が異なるのです。

自治体によって水道料金が違う理由3:人口密度

水道設備には費用がかかっているため、人口密度によっても水道料金の負担額が変わります。人口密度が高ければ水道設備にかかる費用を多くの家庭で負担することができるので、1家庭あたりの水道料金を抑えることが可能です。特に下水道は地域で必要な設備に差がないことから、人口が多い地域の方が単価が下がります。人口が少ない地域は、1本の下水道設備を少ない人数(家庭数)で負担しなければいけなくなるので、水道料金が上がってしまうのでしょう。

自治体によって水道料金が違う理由4:大口需要があるか

民間企業などの大口需要者の水道料金の単価は、一般家庭と比較すると高くなっています。大口需要者の料金単価を高く設定している分、一般家庭の料金が低く設定されている自治体が多いです。このため大口需要の数が多い地域であるほど、一般家庭の水道料金を低く設定することができます。

水道の基本料金が平均して高い都道府県は?

順位 都道府県 基本料金(月額)
1 北海道 1,412円
2 佐賀県 1,391円
3 福島県 1,338円
4 石川県 1,070円
4 香川県 1,070円
6 宮崎県 1,049円
7 山口県 1,027円
8 大阪府 1,017円
8 大分県 1,017円
10 奈良県 995円
10 長野県 995円
12 京都府 984円
13 山形県 963円
13 熊本県 963円
15 埼玉県 952円
16 新潟県 942円
17 兵庫県 941円
18 東京都 920円
19 福岡県 910円
20 滋賀県 899円
21 福井県 888円
22 茨城県 882円
23 高知県 867円
24 長崎県 861円
25 岩手県 856円
25 群馬県 856円
27 神奈川県 845円

水道の基本料金の全国平均は841円/月ですが、この料金よりも高い27都道府県の料金を見ていきましょう。ワースト1位は北海道で1,412円/月。北海道の水道の基本料金が高いのは他の都道府県と比べると面積が広く、人口密度が極端に低い地域を抱えていることが原因と考えられます。