ガス料金は、都道府県ごとに違います。地方では、都市ガスより高いプロパンガスしか選択肢がない地域も。また、都市ガスが普及している地域でも、都道府県ごとに料金が違います。ガス料金を都道府県別にランキング。都市ガスとプロパンガスの料金も比較します。

ガス料金は都道府県によって年間8万円以上の差が!

毎日の給湯や料理、地域によっては暖房設備など、多くの家庭で暮らしに欠かせないエネルギーであるガス。その料金は地域によって大きく異なることをご存じでしょうか。

なかでも、都市ガスが普及しておらずプロパンガスを利用する地方の場合は費用がかさみ、高い地域と安い地域では年間支払料金に年間8万円以上差がつくこともあります。都道府県ごとのガス料金の違いについて、料金差に大きく関わる都市ガスとプロパンガスの比較について、見ていきましょう。

ガス代が安い都道府県はどこ?都道府県別にランキング

総務省の2018年の家計調査データから、都道府県別に1ヶ月のガス代(消費支出額)が安い順にランキングしました。

順位 都道府県 月の平均支払額 順位 都道府県 月の平均支払額
1 大 分 市(大分県) 3156円/月 25 長 崎 市(長崎県) 4765円/月
2 宮 崎 市(宮崎県) 3367円/月 26 宇都宮市(栃木県) 4770円/月
3 高 松 市(香川県) 3420円/月 27 松 山 市(愛媛県) 4815円/月
4 金 沢 市(石川県) 3693円/月 28 仙 台 市(宮城県) 4847円/月
5 青 森 市(青森県) 3720円/月 29 那 覇 市(沖縄県) 4942円/月
6 山 口 市(山口県) 3830円/月 30 岡 山 市(岡山県) 4993円/月
7 和歌山市(和歌山県) 3843円/月 31 神 戸 市(兵庫県) 5011円/月
8 鳥 取 市(鳥取県) 3866円/月 32 千 葉 市(千葉県) 5056円/月
9 富 山 市(富山県) 3991円/月 33 奈 良 市(奈良県) 5154円/月
10 秋 田 市(秋田県) 3992円/月 34 札 幌 市(北海道) 5173円/月
11 福 井 市(福井県) 4022円/月 35 横 浜 市(神奈川県) 5225円/月
12 前 橋 市(群馬県) 4150円/月 36 岐 阜 市(岐阜県) 5277円/月
13 福 島 市(福島県) 4343円/月 37 熊 本 市(熊本県) 5399円/月
14 津 市(三重県) 4439円/月 38 山 形 市(山形県) 5450円/月
15 徳 島 市(徳島県) 4442円/月 39 さいたま市(埼玉県) 5463円/月
16 佐 賀 市(佐賀県) 4456円/月 40 高 知 市(高知県) 5579円/月
17 鹿児島市(鹿児島県) 4502円/月 41 福 岡 市(福岡県) 5587円/月
18 長 野 市(長野県) 4559円/月 42 名古屋市(愛知県) 5607円/月
19 盛 岡 市(岩手県) 4561円/月 43 東京都 5771円/月
20 水 戸 市(茨城県) 4605円/月 44 静 岡 市(静岡県) 5824円/月
21 大 津 市(滋賀県) 4630円/月 45 大 阪 市(大阪府) 5920円/月
22 松 江 市(島根県) 4650円/月 46 新 潟 市(新潟県) 5952円/月
23 甲 府 市(山梨県) 4718円/月 47 京 都 市(京都府) 5955円/月
24 広 島 市(広島県) 4720円/月

※データは2018年総務省調査「1世帯当たり1か月間の支出 都道府県庁所在市別 2人以上の世帯」より抜粋

支出額のトップと最下位では月に約2,800円もの差があります。この金額は契約プランや実際の使用量に応じた消費支出額であり、基本料金の高低とは必ずしも一致しません。例えば東京都はガス料金が安いと言われますが、支出額はかなり多い方になりました。また、一般的には、気候が温暖な西日本のほうがガスの消費量が少ないといわれますが、北国である青森は5位と意外に支出額が抑えられています。ガス代の支出額の高低は、料金単価や気候だけでは一概に説明できないことがわかります。それでは、ガス料金の差はどのような要因で生まれるのでしょうか。

なぜガス料金は都道府県ごとに違うの?

地域によってガス料金が異なる大きな要因は、ガスの種類、プロパンガスと都市ガスの違いです。プロパンガスは都市ガスと比較して割高であるため、プロパンガスしか選択肢がない地域では必然的にガス代が高額になります。

プロパンガス(LPガス)とは?

LPガスは液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)を原料とし、液化させたガスを大きなボンベに詰めて各戸に運搬されます。プロパンガスまたはブタンという物質が主成分で、空気より重い特徴があります。各戸にボンベ単位で供給されるため、災害時でも復旧しやすいのはLPガスのメリットと言えるでしょう。

都市ガスとは?

メタンを主成分とする天然ガス、あるいは液化天然ガスを原料とします。空気より軽く、万一のガス漏れの際も換気口から排出されやすいので安全性が高いと言われています。都市ガスは地中の導管を通して供給される方式で、設備にガス管の整備などで莫大な費用がかかります。設備を設置する初期費用に見合うだけの人口が密集している地域=都市部を中心に供給されるため、「都市ガス」と呼ばれるようになりました。

なぜ料金が違うのか?

プロパンガスと都市ガスは、供給方法や料金制度など、以下に述べるような差異によって料金が異なってきます。

供給方法

都市ガスは地中のガス管を通って家庭に供給されます。導管が届いていない地域あるいは家庭では利用することができません。プロパンガスはガスボンベを各家庭に運搬して供給されます。ボンベの運搬と入れ替え、設備点検などのコストも料金に影響してきます。

料金制度

都市ガスは従来、特定の事業者が地域で独占的に行ってきた公益事業でした。独占性を許可する代わりに料金決定には政府の認可が必要であり、事実上料金規制があったのです。2017年のガス小売り全面自由化を受け、事業者独自の料金設定が可能になりましたが、大きく逸脱するような価格設定がされたという事例は今のところ聞かれません。

一方で、プロパンガスは元々が自由料金であり、単価の設定や計算方式・料金プランなど事業者が個々に設定します。ガスは多くの家庭で必須であるためか、自由料金でありながら価格競争が働きにくく、高めの料金が設定される傾向にあるようです。原油価格の高騰など契約時期によっても料金が異なってくる場合があります。

ガスの発熱量

プロパンガス ブタンガス 都市ガス
発熱量(kcal/m3) 24,000kcal 31,000kcal 11,000kcal

気体のプロパンは都市ガスに比べ、およそ2.2倍の熱量を持ちます。上は経済産業省がまとめたガスの種類ごとの発熱量を抜粋したものです。

発熱量が多いということは、単純に計算すると、同じものを熱するのに都市ガスのほうが2倍多く消費されるということになります。とはいえ、実際には家庭のガス機器の出力量の違いなどにより、一概にこの倍率になるわけではありません。