足りない分は私的年金で補う
公的年金の不足を補う方法は「定年までに長期で積み立てる」「年金以外の収入を増やすこと」といった2つです。具体的な手段を4つ挙げます。この中のいくつかを組み合わせて行うのが効果的です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
年金という名前がついているだけあって、国民年金や厚生年金と似ている性質があります。年間に積み立てた金額を払い込んだ年度の所得から控除できる点は同じです。しかしそれ以外の多くの部分に違いがあります。iDeCoの大きな特徴の一つは、運用先を自分で決めることです。株式投資信託や定期預金、債券など、さまざまな商品から運用先を選ばなければなりません。
もう1つの厚生年金との大きな違いは、受け取れる金額は運用した結果によって変わるということです。一生涯もらえる厚生年金と違い、積み立てたお金を自分自身で増やさなければなりません。増やそうとした結果、減ってしまう可能性もあります。まさに「自己責任」という言葉がぴったりの運用方法です。
個人年金保険(積立型)
保険料を少しずつ払い、老後に一定の利率が加算された保険金として受け取ります。実質的に増える割合は年1%にも満たないくらいですが、経済状況によって変わることもあります。iDeCoや公的年金同様、節税効果もありますが、所得控除の最大は年間5万円までと多くはありません。受取方法はさまざまで、一括タイプや年金タイプのもの、さらに年金タイプで生涯受け取れる、トンチン型年金というものもあります。
ただインフレーションに弱い点には注意が必要です。物価が大きく上がっても、受取金額は変わらないので、実質的な受取額はかなり減ってしまう可能性があります。
つみたてNISA
老後資金の形成のために作られた制度ですが、年金とは少し意味合いが違います。金融商品に投資して利益が出ると、通常はそこに税金がかかるのですが、一定の条件のもと運用することで免除されます。これを制度化したのが「NISA」と「つみたてNISA」です。税金が免除される期間はNISAが5年、つみたてNISAは20年です。
つみたてNISAが対象とする金融商品は、「長期の運用に適している」と金融庁が認めたもののみとなっています。老後の資金作りに適さない商品を選んでしまうことをある程度防ぐことが可能です。しかしiDeCoと同様に運用の責任は自分にあります。家計に余裕がある人が、他の方法と合わせて行うのに良いでしょう。
マンション経営
金融商品でも保険でもなく、実物資産である区分所有マンションを購入します。買った部屋は賃貸に出し、家賃収入を得るという手法です。減価償却費や購入時の諸費用は所得控除できるので、iDeCoや公的年金と同じように節税効果があり家賃は老後の収入源になります。一般的な流れは、まずローンを組んで購入し退職するまでに完済することです。
理想通りとなれば家賃収入のほとんどが収入として残るようになります。そのまま受け取り続けるのも良いですし、売却して新しいマンションを買うのも良いでしょう。物価上昇に強いことも特徴の一つです。一般的に不動産価格や家賃収入は物価と連動します。経済状況の変化にも対応できる、長期の資産運用に適した方法といえるでしょう。
豊かな老後を送るためには公的年金だけに頼らないこと
公的年金の中でもサラリーマンが加入する厚生年金は、「現役時代にどれくらいの収入だったか」「年金をもらうときにおける若い人たちの収入」などによって変わります。また必要な老後資金はどれくらい余裕をもった暮らしをしたいかによって大きく異なり、一概にはいえません。突発的な支出が発生するリスクも考えると、公的年金だけでは明らかに不足しています。
足りない分は自助努力によって補うしかありません。そのため若いうちから長期で積み立てていくことが必要です。iDeCoや個人年金保険、マンション経営などのうち、いくつかを組み合わせて行うと良いでしょう。
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