育休中の給料はどうなる?育児休業給付金とは

雇用主は育休期間中に給料を払う義務がないため、ほとんどの場合、給料はもらえないでしょう。しかしそれでは生活に困ってしまうため、育休期間中の収入を保障するため設けられているのが育児休業給付金です。

育児休業給付金は、雇用主である会社がハローワークに2カ月ごとに申請し、支給日数などを都度計算して支給となりますので、給付額は人それぞれ、その月々で違います。

しかし、原則となる算出式は次の通りですので、事前に自分でおおよその目安を計算することはできます。休業開始時賃金日額は、育児休業開始前6カ月の賃金を180で割って算出します。

支給単位期間(育児休業を開始した日から1カ月ごと)当たり
育児休業給付額=(休業開始時賃金日額)×(支給日数)×67%(6カ月経過後は50%)

ただし会社によっては独自の規定を設けて、給料を支払うケースもあります。一定以上の割合で給料が支払われている場合は、育児休業給付金の受給対象とならないので注意が必要です。

育休の取得をためらう必要はなし

(写真=paulaphoto/Shutterstock.com)

前出の『平成27年度 仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査』によると、育児休業を取得しなかった理由で最も多かったのは「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」でした。しかし、『育児・介護休業法』では、雇用主は取得要件を満たす働き手から育休取得の申し出があった場合は、拒むことができないと定めています。

つまり、会社に制度が整備されていてもされていなくても、要件を満たしていれば育休を取得できるのですが、『平成27年度 仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査』によると、そのことを知っている女性社員は正社員で51.8%、非正社員だと33.6%に留まります。

また、誤解されがちなことですが、育児休業給付金は、雇用されている会社から支給されるものではありません。毎月納めてきた雇用保険から給付されるものです。退職して次の仕事が見つかるまでの間、ハローワークで手続きをして失業給付を受けますが、それと並ぶ制度です。

ですから、「働いていない育休中に給付金を受けるのはちょっと……」というのは、「働いていない失業中に失業給付を受けるのはちょっと……」というくらい、おかしなことなのです。

社内で前例がなかったり非正規雇用だったりして、育休を申し出にくいこともあるでしょう。会社の雰囲気によっては、黙って退職した方が波風立たない、と判断する場合もあるかもしれません。ですが、育休の取得や育児休業給付金の受給は、法律で定められた権利なのです。そのことは覚えておいてください。

生涯を考えたサバイバルとして、取れる育休は積極的に取ろう

(写真=paulaphoto/Shutterstock.com)

出産で仕事を辞めても、ほとんどの人は再就職のコースをたどります。そして、現状ではそのほとんどが非正規雇用に移行し、生涯年収を大きく損なっています。であれば、取れる育休はどんどん取って仕事を続け、得るものを得ようではありませんか。育児休業給付金は雇用保険から出るもの。失業給付と同じく、働けないときの保険なのですから、ためらう必要はありません。

育休の問題は、ときにワーキングマザーと独身女性の対立に落とし込まれがちです。しかし、独身女性にしわ寄せが来ていると感じるなら、その原因は休みを取る女性にあるのではなく、マネジメントや経営の課題です。独身者が働きやすくプライベートも大事にできる職場なら、ワーキングマザーも働きやすい職場です。そのことはぜひ、忘れないでいてほしいなと思います。

文・菊池とおこ/DAILY ANDS

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