そろそろ考え始めないといけない「親の介護」。つい他人事と考えがちで、ましてや自分の親がそうなる姿を具体的に考えたくない願望も手伝い、準備を後回しにしてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、もし何かあった時にどう行動したら良いかを頭の中でシミュレーションしておくだけでも、いざという時にパニックにならずにすむのです。今からやっておきたい、親の介護に備えた準備を確認していきましょう。
親とコミュニケーションを取っておく
認知症や重度の介護状態になってしまった場合、どんなに願っても思うようにコミュニケーションが取れなくなってしまう人も多いでしょう。
今のうちから、これまで育ててもらったお礼とともに、親がどんな人生を歩んできたのか、先祖の歴史、子どもにどんな人生を期待してきたのかなど、いろいろな話をしておくことをおすすめします。
また、いざ介護が必要になった時、在宅で介護をしてほしいのか、施設に入っても良いのか、どんな設備のある施設に入りたいのかなど、本人の希望をさりげなく聞き出せるといいですね。
直接聞きづらければ、例えば「友人の親が施設に入った」などと話題を向けてみて、その時の親の反応を見るのも一つの方法です。
兄弟姉妹で介護の分担について話し合う
兄弟姉妹がいる人は、親が要介護の状態になった時にどうするのか、事前に話し合うことが必要です。
家族の考え方には地域差もあり、子供の現住所によっても負担度が異なります。
例えば、親が亡くなった後の遺産分割の受取り比率を、介護負担の比率で分けるなどの取り決めをしておけば、介護負担が重い兄弟も納得してくれる可能性はあります。
のちのちもめ事が起ることのないように、兄弟姉妹の間で納得できる方法を見つけておきましょう。
保険の加入状況を確認する
親が高齢になればなるほど、病気やケガなどで入院・通院するケースは増えていきます。
親が民間の医療保険やがん保険などに加入していないか、また運悪く亡くなることも勘案して、生命保険に加入していないかを確認しておきましょう。
保険金の請求には時効があります。該当事由が起こったらすぐに請求すると、経済的な助けになるばかりでなく失効も防げます。
また、公的な健康保険には高額療養費制度もあるので、うまく活用するようにしましょう。
地域の介護施設・サービスを調べる
老人ホームなどの介護施設にもさまざまな種類があるので、まずは、地域の介護施設の種類やサービスを確認して、どのくらいの費用がかかるのかを調べておくと良いでしょう。
公的な老人ホームの場合、費用負担は少ないことが多いですが、一般には待機人数が膨大で、入居にあたり要介護3以上などの条件があります。
一方、民間の介護付き有料老人ホームは、入居条件はより緩やかですが、施設の立地やサービス、職員数などにより費用はさまざまです。
なお、介護保険を利用する際には、地方自治体の地域包括センターへの連絡が必要になります。
介護費用は親の資産だけで足りそうか、資産の管理はどうするのかを確認
介護費用がまかなえるか、親の資産状況と照らしあわせてみましょう。
親の預金や年金だけで足りない場合は、子供が介護費用を負担することもあるかもしれません。
心配な場合は、地方自治体の地域包括センターへ相談するのも良いでしょう。
また、預金や年金があっても、親が突然倒れて運悪く寝た切りになってしまうと、委任状がない限り銀行からお金をおろしたり振り込んだりすることができません。
親が認知症と認められる場合も、同様に銀行取引が難しくなると考えられます。
委任状をあらかじめ用意しておいてもらう、或いは介護費用を事前にいくらか預かっておくこともおすすめです。
特に多くの資産を持っている場合などは、親が元気なうちに資産の所有権を移転する「民事信託」や、将来認知症などになったときに財産の管理を行えるようにする「任意後見人制度」も選択肢のひとつです。
将来に備えてできることから少しずつ
人は誰しも年をとるものです。高齢な親を持つ人は、いざという時に後悔しないよう、できることから少しずつ準備をはじめてみてはいかがでしょうか。
文・岩永真理(一級FP技能士・CFP®)
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