自分の価値に見合う収入、仕事の自由度が幸福度のカギ
――天野さんの幸福度が高いのはどんな条件がそろったときなんでしょう?
グラフを見ていただくと分かる通り、仕事をしている時で特に幸福度が高かったのは、編集部時代とフリーランス時代。そこに共通して言えるのは、何をするか、どう働くか、そういうことを自分で決めることが多かった、ということ。
例えばそれ以前にやっていた営業の仕事は、毎日ある程度ルーティーンが決まっていて、やるべきことが明確でした。
でも編集の仕事では、どんな企画にするのか、どんな風に情報収集するのか、全て自分で考えます。それが楽しくて、自分の幸福度に直結していたように思います。
フリーランスになったら、いつ起きるか、いつ休むか、そういうことまで全て自分次第。選べる自由を謳歌していた感じですね。
――収入と幸福度の関係は?
あまり比例していませんね。長時間働いたり、ハードな環境に身を置いたりしてまで収入を求めるのも、自分の幸せにはつながらないと感じています。
ただ、収入が大切じゃないってわけではありません。美味しいものが食べられる、好きなものを買うことができる、一人暮らしができる……それらを保証できるくらいの収入はないと、どんなにやりがいある仕事をしても「幸せだ」とはならない気がして。
自分の仕事に対してふさわしい報酬は欲しいし、自分の価値に見合った収入があることは大事です。自由度ややりがいを求めるにも、「ちゃんと収入がある」という安心感は必要だと思います。
順調なキャリア=幸せ、とは限らない
――これまでのキャリアを振り返ってみて、ズバリ「転機」は何だと思いますか?
やはり前職で編集部に異動したことですね。初めて自分で「やりたい」と希望したことが大きかったように思います。
それまでは配属された場所で頑張っていましたが、どこかで「本当は違う仕事がしたいのに」という思いがあったんです。だからこそ希望での異動は納得感がありましたし、何よりも言い訳ができなくなって「ここで頑張らなければ」と腹を括れました。
その結果、編集部でスキル・人脈を培うことができました。銀行の口座残高2万円から、フリーランスとして満足な収入が得られるようになったのは、編集部での経験が生きているから。
前職の会社から頂いている仕事もありますし、当時の同僚が起業したり転職したりして、そのつながりからご一緒している案件もあります。
そういう原体験があったことも、アルムナイを事業にしている今の会社に就職した理由の一つだったりします。
――前職でスキル・人脈の両方を得たのですね。
あとは、編集部にいた際、記事を制作する上でたくさんの著名人・有識者の方々を取材してきました。
その時に紆余曲折ありながらも楽しく生きている人たちの人生を垣間見てきたことで、「私も何とかなるかも」と思えて。そこで吹っ切れたおかげで、自由なキャリア選択をできるようになった、というのはあるんです。
――仕事で出会った方々に背中を押してもらえた、と。
はい。辛い経験をして波乱万丈に生きてきた人が今幸せそうだったり、逆にすごく順調なキャリアを歩んできてもつまらなそうに生きていたりする人もいます。
そういうたくさんのケースを見ているうちに、「きれいなキャリア」じゃなくたっていいやって思えたんですよね。
無収入になったり留学したり、キャリアが一時的に途切れたって、まぁ何とかなるさ、と。ですから今後のキャリアに悩んでいる読者の皆さん、ぜひWoman typeを読んでくださいね(笑)
――その自信が、人生選択に影響を与えているわけですね。
さまざまな人生の選択肢を知ることができたのは、編集部時代の仕事のおかげ。
主体的に新しい世界に飛び込んで、そこで生きていく強さみたいなものを得られたからこそ、今幸せに働けるようになったと思うんです。
そういう意味では、当時年収を下げてでも編集部に異動して本当に良かった。結果的にそこでの経験が、その後の仕事や、収入アップにもつながっていますしね。
「いい人柄」は、稼ぐ力に十分なり得る
――天野さんの場合、収入の多い少ないはそこまで幸福度に影響を与えていないことが分かりますが、とはいえ、自分の価値にふさわしい収入は大事だと。
そう思います。収入だけを重視することはないけれど、やっぱり「稼ぐ力」が自分にあることは幸せに生きていく上で大事だと思いますね。
やりがいのある仕事をして、自分がそこで成果を出して、それに対して報酬がしっかりついてくるっていういい循環をつくっていきたい。
――フリーランスなどを経た今、「稼ぐ力」って、何が大事だと思いますか?
意外かもしれないですが、ずば抜けた特別なスキルはそれほど重要じゃないと思うんですよ。
もちろんフリーランスで仕事をするなら最低限のスキルや実績は必要ですが、普通に人と気持ちのいいコミュニケーションができるっていうくらい単純なことが、案外「稼ぐ力」になるんじゃないかなと。
前職でも、それを痛感する出来事がありました。派遣コーディネーターの仕事をしていた時に感じたことなのですが、良い転職が決まる方の多くは、何か資格があるとかそういうことではなくて、人柄が良い方だったんですよ。
象徴的だったのが、長年旅館の仲居さんをされていた30代の女性。PCスキルはほぼなくて、デスクワーク経験はゼロだったんですけど、IT企業の事務職でオファーが出たんです。
採用理由は人柄やコミュニケーション力の高さ。この人なら気持ちよく一緒に働けそうだ、と思われたことが採用の決め手になっていました。
そういう例をたくさん見てきたので、陳腐ですけど、やりたいことがあるのならチャレンジした方がいいと思います。
「スキルがないから」「できるかわからないし……」と躊躇する気持ちはすっごく分かりますけど、そこで一歩踏み出すと自分の強み・弱みがよく分かる。そうやって自己理解が深まった先に、いい仕事が得られるチャンスはいっぱいあると思います。
――今後はどんな風に働いていきたいですか?
今のところは、8割会社員、2割フリーランスという働き方が自分にとって良いバランス。組織の一員として個人ではできない仕事をしながら、フリーランスの部分も残すことで、自由度高く働けています。
ただ、将来それが変わる可能性も十分あります。またフリーランス一本でいこうと思うこともあれば、しばらく仕事は休もうと思うこともあるかもしれない。
いずれにしても、その時々で心地いい働き方ができたらいいかな。これからもバランス感覚を大切に働いていきたいです。
提供・働く女のワーク&ライフマガジン『Woman type』(長く仕事を続けたい女性に役立つ、キャリア・働き方・生き方の知恵を発信中)
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