パラリンピックに限らず、障がい者スポーツでよく耳にする単語に、Classificationがあります。「クラシフィケーション」とカタカナでそのまま言うこともありますし、「クラス分け」という風に言うこともあります。パラリンピックの選手にとって、障がいのある部位や程度は色々。例えば、腕に障がいを持つ人と、脚に障がいを持つ人では、その障がいが競技に与える影響は違います。また、その障がいが重度であるのか、もしくは軽度であるかのも、競技に与える影響が違います。したがって、競技会をできるだけ平等に行うために選手のクラス分けをする過程をClassificationと呼びます。

パラリンピックにおいては、まず最初に「競技に参加することが認められている障がいの種類」「競技に参加することが認められている障がいの程度」「永続的」という3つの観点が判断されます。そのうえで、パラリンピックではIPC(International Paralympic Committee・国際パラリンピック委員会)の基準を用いてクラス分けが行われます。この基準はIPC Classification Code(国際クラス分け基準)と呼ばれています。もちろん、競技によって障がいが与える影響や、求められる技術などが変わりますから、クラス分けは競技ごとに行われます。

例えば日本パラ陸上競技連盟の資料では、実際のクラス分けの様子が示されてます。例えば「T53C」というクラス分けがあった場合、4つの情報がここには隠されています。1つ目はT。Trackの省略で、走る競技や跳躍競技のクラス分けであることが示されます。つまり、これは競技種別の情報。次にあるのが53という数字。10桁の数は障がいの種類や競技の形式です。50番代は「脚長差、切断、関節可動域制限、筋力低下等の障がいのある車椅子や投てき台を使用する競技者」と定義されています。10番代であれば視覚障がい。この様に、10桁の数字で障がいの種類がわかります。1桁の数字は程度。0~9で数字が割り振られます。0に近いほど程度は重度です。なので、例えば「11」の選手出れば全盲か、視力は0.0025未満です。逆に「13」であれば、視力は0.04から0.1の間です。そして最後のアルファベットは、クラス分けの状況。Nであれば、Newの略で、クラス分けを競技前に受ける必要がある選手。RはReviewの略で、再度クラス分けが必要な選手。そしてCはConfirmedを意味し、クラスが確定した選手です。

このようなクラス分けのシーンに通訳者が立ち会うことも少なくありません。そんな場合には、前述の視力と数字の関係のように、細かいクラス分けの定義を暗記しておく必要はありません。しかし、クラス分け資料に出てくる用語を確認しておくことは必須です。例えば、先程の「13」という番号では、視力だけではなく、「視野直径40度未満」という定義もあります。この数字を覚える必要はないですが、「視野直径」の訳を知っている必要はあります。

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